※2023年6月9日16時56分更新
ニュージーランドドルの見通し:対米ドル・豪ドル・ユーロ



米債務上限の停止、世界経済の底堅さ、米国金利のピークアウト期待から、ニュージーランドドルを含むリスク動向に敏感な通貨に資金が向かっている。
資産クラス全体のボラティリティは過去2週間で低下している。シカゴ・オプション取引所がS&P 500を対象とするオプション取引の満期30日のインプライド・ボラティリティを元に算出する株式市場のボラティリティVIX指数は、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時以来の低水準まで低下した。また、通貨のボラティリティを測定するCVIX指数は、1年超ぶりの低水準となっている(下図参照)。
ボラティリティ指数
資料:ブルームバーグ、マイクロソフトエクセルで作成
リスクセンチメントの改善により、ニュージーランドドル/米ドルは月初めから1%超上昇した。ニュージーランドドルは先月末、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)が25ベーシスポイントの利上げを実施したものの、金利がピークに達しているとの認識を示したことを嫌気し、急落した。
NZドル/米ドル:主要サポートを上回る水準を維持
テクニカルチャートでは、ニュージーランドドル/米ドルは今のところ、2月から続く下降チャネルの下辺と、2022年10月から2023年2月にかけての上昇の50%リトレースメントが重なる重要なサポートを上回る水準をなんとか保っている。
NZドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
サポートを上回った状態のキープは強気派にとって心強いが、最悪の事態が収束したとは言い切れない。当面の下落圧力を弱めるためにニュージーランドドル/米ドルは、最低でも200日移動平均線(現在0.6150付近)を上抜ける必要がある。さらに5月の高値0.6385を上回れば、弱気相場が反転する可能性が開かれるだろう。
NZドル/米ドル 月足チャート
資料:TradingView
興味深いことに、月足チャートでは14カ月RSI(相対力指数)が重要な40付近から上昇に転じているようだ。以前にも同じような動きがあり、その際、価格は反発した。下降局面では、下降チャネルの下辺を下方ブレイクすると、下落リスクが高まる。
豪ドル/NZドル 月足チャート
資料:TradingView
豪ドル/NZドル:上昇一服か?
豪ドル/ニュージーランドドルは、2月の高値1.1085に位置する厳しい天井に近づいている。大きく反発した後だけに、少しの間、上昇は一服するかもしれない。しかし、長期の時間枠チャートでは、2つの重要な動きが見られ、今月の上昇が持続する可能性を示している。まず、2022年の上昇により価格は2020年の高値1.1040を上回っており、数カ月にわたる下降圧力が薄れつつあることを示している。第二に、月足チャートでは、レジスタンスからサポートに転じた水準である89カ月移動平均線が何とかサポートになっている。1.1085を上抜けると、中期的な見通しが上向きになる可能性がある。
ユーロ/ニュージーランドドル 日足チャート
資料:TradingView
ユーロ/NZドル:上昇は一旦終了?
ユーロ/ニュージーランドドルは5月上旬の高値1.7835に位置するレジスタンスに近づくにつれ勢いが失速しており、今月に入ってからの反発は力強さに欠けている。価格は、短期的に1.7150-1.7850のレンジに落ち着く可能性がある。4月には、2015年から続く上昇チャネルの上辺から後退した経緯がある。6日の安値1.7570に位置する当面のサポートを上方ブレイクすると、レンジ相場となる可能性が高まるだろう。
トレードの基礎知識
FX取引の基本
推薦者: Manish Jaradi
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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