ナスダック100の上昇基調にブレーキがかかった。8月の月次の騰落率は1.6%安で、2月以来半年ぶりのマイナス。長期金利の上昇に足を引っ張られた形となった。一方、8月の値動きを前半と後半で分けてみると、後半は3.1%高となっており、勢いの復活も感じられる。とはいえ、ナスダック100の上昇を引っ張る半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)をはじめとする大手ハイテク株の9月先行きには不安もあり、見通しは晴れない。
アメリカの高金利がナスダック100を下押し
ナスダック100の8月31日の終値は15501.07。月次でのマイナスは2月(0.5%安)以来で、下落率としては2022年12月(9.1%安)以来の大きさだった。2022年末から2023年初めにかけては、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続が意識され、株式市場に対する悲観的な見方が強かった時期だ。FRBはこのところ、改めて利上げの必要性が薄れたわけではないことを強調。長期金利(10年物米国債利回り)は22日に一時、15年9か月ぶりの高さとなる4.366%をつけており、株式市場に低調なムードが蘇ったといえる。

一方、8月の値動きを前半と後半で分けてみると、ムードの変化も感じられる。8月15日のナスダック100の終値は7月末比で4.6%安。一方、8月31日の終値は15日比で3.1%高だ。長期金利も31日には4.091%まで低下。こうした中で、ナスダック100は25日から31日にかけて5営業日連続で前日比プラスを記録し、8月を終えた。
8月後半のナスダック100は改善傾向
構成銘柄を絞り込んでいるナスダック100の値動きは、S&P500種株価指数と比べて、時価総額が大きいエヌビディアなど大手ハイテク銘柄の影響をいっそう受けやすい。そのエヌビディアの株価は2023年5-7月期決算発表の翌日にあたる24日の終値が前日比0.1%高に留まるなど、好決算が株価上昇の起爆剤にはならず。しかし28日から31日までは4連騰となり、8月を5.6%高で終えた。下半期の上昇率は16.7%で、株価が2.9倍になった上半期ほどの驚異的な勢いはないが、それでも値上がりは続いている。また、8月半ばに下半期の下落率が18%近くに達した電気自動車(EV)大手テスラの株価も8月末までに大きく値を戻した。

とはいえ、9月最初の営業日となった1日のナスダック100の終値は前日比0.1%安。S&P500の0.2%高と明暗が分かれた。エヌビディアは1.7%安、テスラは5.1%安となり、幸先の悪いスタートだ。ナスダック100の2022年末比での上昇率は41.6%で、S&P500の17.6%を大きく上回っているだけに、反落が厳しくなる可能性もある。