ナスダック100の上昇基調が正念場を迎えている。ナスダック100は8月末に入って、7月末の水準を下回って推移。このペースが続けば6か月ぶりの月次マイナスとなり、上昇の勢いにブレーキがかかりそうだ。ナスダック100の減速の背景には、米国の長期金利上昇がある。また、半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)の好決算もナスダック100の上昇にはつながっておらず、不安のタネが尽きない状況だ。
8月のナスダック100は前月末比マイナスの懸念
ナスダック100(NDX)は米国のナスダック証券取引所の上場企業から選ばれた100銘柄の値動きから算出される株価指数。ハイテク企業を中心とした成長期待が高い銘柄で構成され、金融業は除かれている。2023年に入ってからは、エヌビディア(NVDA)やメタ・プラットフォームズ(META)など時価総額が大きい銘柄の急騰がナスダック100の値上がりを後押ししてきた。
ただ、その勢いは8月に入って急激に失われている。ナスダック100の25日の終値は14941.83。7月末と比べて5.2%安の水準だ。これまでのナスダック100は3月から7月まで5か月連続で前月末の終値を上回ってきた。8月もプラスになれば、2016年11月から2017年5月にかけて記録した7か月連続に迫るが、達成が危うくなってきた。

長期金利の上昇がナスダック100の値上がりを下押し
ナスダック100の足を引っ張っているのは米国の金利水準の上昇だ。長期金利(10年物米国債の利回り)は25日に4.239%となり、2007年以来の高水準が続く。金利水準の高さは安定資産である米国債を買うだけで高い利息を得られることを意味し、株式投資の魅力を相対的に薄れさせる株安要因とされる。またナスダック100に多く含まれる成長企業は資金需要が旺盛なケースが多く、金利上昇に伴う資金調達コストアップが業績を圧迫するとの懸念をもたれやすい。
また、23日に発表されたエヌビディアの2023年5-7月期決算がナスダック100の追い風になるとの期待も打ち砕かれた。エヌビディアの決算は市場予想を大きく上回ったうえ、8-10月期の見通しについても投資家の想定を超える数字を打ち出す好決算。しかし翌24日の株価の終値は前日比0.10%高に留まり、ナスダック100も2.2%安となった。エヌビディアの時価総額は1兆ドルを超えており、アップル(AAPL)やマイクロソフト(MSFT)などに次いでナスダック100構成銘柄の中で6番目に大きく、伸び悩みは指数全体に影響する。
2000年以降のナスダック100の成績は上々
銘柄を絞り込んでいるナスダック100は、すべてのナスダック上場企業の値動きを反映するナスダック総合指数や、幅広い銘柄をカバーするS&P500種株価指数(SPX)に比べて、良い運用結果を残してきた。ナスダック100の年次騰落率は2000年以降の平均でプラス9.0%で、ナスダック総合のプラス7.8%や、S&P500のプラス5.9%を上回る。ただし2000年代初めのITバブル崩壊期や、リーマン・ショックが起きた2008年といった株価が急落する局面では、ナスダック100の下落率は大きくなりがちだ。
米国の長期金利の動向をめぐっては、米連邦準備制度委員会(FRB)のジェローム・パウエル議長は25日のワイオミング州ジャクソン・ホールでの講演で、物価上昇率の高さに引き続き懸念を示している。FRBが利上げに踏み切れば金利の先高観が強まり、株価への逆風となることは避けられず、下落局面も予感されそうだ。