ナスダック100が9月のスタートダッシュに失敗した。8日の終値は1週間前比で1.4%安。中国政府のiPhone(アイフォン)使用禁止報道を機に高まったアップルの業績の先行き不安などが影響したもようだ。一方、ナスダック100は2022年末との比較ではは1.4倍に値上がりしており、S&P500やダウ平均を大きく上回る成績を残している。ただしアメリカの株式市場が下落局面に入った場合にどこまで安定感を示すことができるかには不安もある。
ナスダック100は3週ぶりに週次で下落
ナスダック100の8日の終値は15280.23。週次での下落は8月中旬以来3週ぶりだ。ナスダック100は3月のシリコンバレーバンク破綻後の急落を底として上昇基調が続いてきたが、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ見送りと同時に年内2度の利上げを示唆した6月中旬以降は、15000を挟んだ値動きとなっている。
ナスダック100の8日までの週の値下がりはアップル株の大幅下落の影響を受けたようだ。アップルをめぐっては、米紙ウォールストリート・ジャーナルが6日、中国政府が政府職員に対してアップルの主力製品であるアイフォンなどの外国製端末を業務で使わないように指示したと報道。アップルの主要市場のひとつである中国での販売が悪影響を受けるとの見方が広がり、アップルの株価は8日までの3日間で6.1%下落した。

金融情報会社リフィニティブのデータによると、アップルの時価総額は約2兆7800億ドルで、ナスダック100構成銘柄全体の時価総額の約15%を占める。ナスダック100は算出に際して時価総額を考慮しており、それだけアップルの値動きの影響は大きい。ナスダック100の週次での下落率は、構成銘柄が多いS&P500種株価指数(1.3%下落)や、時価総額を考慮せずに算出するダウ工業株30種平均(0.7%下落)よりも悪い結果となった。
ナスダック100は年初来で1.4倍に
一方、ナスダック100は2022年末比では40%高となっており、S&P500の16%高やダウ平均の4%高を大きく上回っている。アメリカの株式市場の上昇がアップルや半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)、SNS大手のメタ・プラットフォームズなど、時価総額が大きい一部の銘柄の急速な値上がりに引っ張られてきた結果だ。

ただ、政策金利の高止まり観測を背景に長期金利が上昇する中、成長性が期待されるハイテク企業の株価には下落圧力がかかりやすい。今後も長期金利の上昇と株価下落が進んだ場合は、ナスダック100の優位性が徐々に薄れていく筋書きも想定されそうだ。