4日に米国株にも大きな影響を与える米国雇用統計が発表される。Apple、Amazonが決算を発表し、米国企業の決算が本格化しているが、NASDAQ総合指数の今後の見通しは?



サマリー
- 4日米国雇用統計に注目
- アップル、アマゾンが決算を発表、ハイテク企業の好決算続く
- ナスダック総合指数の見通し
米国雇用統計に注目
FRBの金融政策を占う上で重要な雇用統計が4日に発表される。3日に発表された新規失業保険申請件数、失業保険継続受給者数は前の週と比べて増加、単位労働コストは前の期と比べて伸びが鈍化しており、雇用市場の軟化、賃金圧力の鈍化を示唆した。米国のインフレ鈍化、米国の利上げ終了が近いとの見方を強める結果であった。4日雇用統計でも、雇用市場の軟化が示された場合、FRBの利上げ終了が一段と強まり、リスク資産である米国株にとってサポート要因となることを見込む。
Apple、Amazonの決算
米国企業の4-6月期企業決算が進んでいる。S&P500指数構成企業の83%、ナスダック総合指数構成企業の34%が決算発表を終えた。本日未明にアップル(Apple)、アマゾン(Amazon)が決算を発表した。アップルは、売上高・一株当たり利益共に事前予想を上回った。ただし、iPhoneやiPadの売上高は市場予想を下回った。アマゾンも、売上高・一株当たり利益共に事前予想を上回った。また、7月に実施した有料会員向けセール「プライムデー」の売上が好調であったことから、第3四半期(7-9月期)の売上高見通しが市場予想を上回った。時間外で、iPhoneの売上が予想を下回ったアップルの株価は下落している一方、今期及び来期の良好な決算見通しを示したアマゾンの株価は上昇している。
企業決算の予定・結果はDailyFX.com企業決算カレンダーで御覧いただけます。
ハイテク企業の好決算続く
現在までに公表された企業決算は概ね市場予想を上回っている。NASDAQ総合指数構成企業の内、既に決算を発表した企業の内、4-6月期(今期)は、約54%は売上高が、約62%が一株当たり利益の事前予想を上回っている。1-3月期(前期)の決算と比べ、一株当たり利益が事前予想を上回っている企業が増え、好決算が続いている。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値
事前予想を上回っている企業の数に加え、売上・利益共に事前予想の金額を上ぶれている企業が多い。既に決算を発表したナスダック総合指数構成企業全体で、前期同様一株当たり利益の金額は「10%強」事前予想を上振れており、大幅なポジティブサプライズが続いていることを示している。売上高も2.3%近く事前予想を上ぶれている。売上高・一株当たり利益ともに事前予想を上回るのは2022年1-3月期以来である。特にハイテク企業の逆風となるFRBによる利上げ環境下でも堅調な企業業績を示していることは、米国株のサポート要因になろう。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値



ナスダック総合指数の見通し
大手格付機関フィッチ社による米国債格下げ、米国景気の減速懸念がナスダック総合指数の重荷となり、5月以来初めて20日指数移動平均線を下方ブレイクしている。また、4月以降連続する高値・安値が切り上がっていたものの、移動平均線の下方ブレイクと同時に、高値・安値の切り上がりに失敗しており、上昇トレンドが一旦終了した可能性が高まっている。
テクニカル面では弱気であるものの、筆者は米国債格下げの影響は、短期的かつ限定的と見込んでいる(「米国債ショック!米国債が格下げ。金融市場の見通しは」参照)。また、ハイテク企業の好決算が続く中、特にハイテク企業の逆風となるFRBの利上げ終了が近付いており、ナスダック総合指数に対して中立の見通しである。
米国債格下げの影響が和らいだ場合や、米国雇用統計にて雇用市場の軟化が示されFRBの利上げ停止の見方が一段と強まった場合、レジスタンス転換した可能性のある20日指数移動平均線(現在14,034レベル)を上抜けるかに注目。上抜けると、最近の移動平均線の下方ブレイクは「だまし」の可能性が高まり、ナスダック総合指数の上昇トレンド継続が視野に入る。
一方、予想を上回る米国雇用統計の結果、FRBの一段の利上げ織り込みが進展した場合の下値の目途として、50日指数移動平均線(現在13625レベル)が視野に入る。下方ブレイクすると、上昇ブレイクが終了したことが明確になる。
ナスダック総合指数日足チャート

資料:Trading View



新たなレポートの配信等はtwitterアカウント@DailyFXJapanで確認できます。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著