米国株見通し
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買い先行で始まった米国株だったが、マクロ関連の経済指標が期待外れだったことや、米国経済がハードランディングに向かうとの懸念が強まったことが重しとなり、取引開始後まもなく下落に転じ、終日、売りに大きく押される展開となった。S&P500種株価指数は前日比2.01%安の3,821で引け、再び弱気相場入りした。ナスダック100指数は3.09%安の11,637で取引を終え、先週金曜日の上昇分を完全に帳消しにしており、底上げ相場につながるような、意味のある株価反発に対して市場は確信が持てていないことが露呈した。
本日の弱気な値動きは、数十年に一度の高インフレの中で、米国の経済状況に対するセンチメント(市場心理)が悪化していることが一因とも言われている。米民間調査機関コンファレンスボードが今朝発表した6月の米消費者信頼感指数は98.7と、前月から4.5ポイント低下し、2021年2月以来の低水準となった。これは、第2四半期における経済成長の鈍化と、年末に向けて景気後退リスクが高まっていることを示唆している。米国の国内総生産(GDP)の約3分の2を占めているのが家計支出だということを考えると、この評価は理にかなっている。



今週に入り、年金基金の四半期末のリバランスが株式の買い需要を押し上げ、株価を上昇させるとの観測があったが、少なくとも27日(火)の時点では、そうした期待は現実のものにはなっていない。株価は月末に向けて上昇する可能性はあるものの、米国株式市場では市場心理が急速に悪化しており、そのことは、投資環境が改善するまで投資家は追加的リスクを取りたがらない可能性があることを示唆している。
今後、相場のボラティリティを上昇させる可能性があるインパクトの強いイベントがいくつか予定されており、注意深く見守る必要がある。例えば、29日(水)にはポルトガルのシントラで欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムが開催され、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を含む主要人物が見通しについて発言する可能性があるため、トレーダーは注目されたい。ハト派的な発言は株価の買い材料、タカ派的な発言は売りを後押ししそうだ。



ナスダック100 テクニカル分析
先週の大幅上昇にもかかわらず、ナスダック100指数は重要な上値抵抗となる12,175/12,225付近を突破できなかった。27日(月)早朝にこのエリアを試した後、売りが再び優勢となって指数を押し下げ、その後は大きく売られる展開となった。今回の動きで、ナスダック100指数は重要なテクニカルサポートである11,500付近に着実に接近してきている。今後数日間に、このサポートを割り込んだ場合は、2022年の安値を再び試す展開に備える必要がある。一方、下降圧力が弱まり、指数が反転する動きとなれば、最初の上値抵抗は12,175/12,225、その上には50日単純移動平均線が控えている。さらに上昇するとなれば、12,600が視野に入ってくるだろう。
ナスダック100 テクニカルチャート

資料:TradingView