※2023年4月6日11時7分更新
ナスダック100、ISMサービス業指数、FRB、テクニカル分析 - APAC市場寄り付き
- ISMサービス業指数の予想以上の低下を受け、テクノロジー株比率の高いナスダック100は軟化
- 市場は、FRBのハト派姿勢よりも景気後退懸念により注目したように見受けられる
- ナスダックは、下降に転じたことで直面している重要なサポートゾーンを維持できるか?



APAC市場まとめ - 軟調な米経済指標を受け、ハイテク株が下落
5日の米国株式市場でハイテク株比率の高いナスダック100指数は前日比1%超下落した。ダウ工業株30種平均とS&P 500種株価指数が小動きとなった中、ナスダック100指数の下落率はこの2週間で最大となり、下げが目立った。5日発表の米経済指標が予想外に弱い内容となったことが売りを誘ったようだ。まず、米ADP雇用者数が予想を下回る結果となった。ただ、ADP雇用者数は全米の非農業部門雇用者数の先行指標と言われているが、信頼性が低いとの見方もあり、市場はこの数値にはあまり注意を払わなかった。
代わりにトレーダーが注目したのは、米供給管理協会(ISM)が5日発表した3月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)だった。サービス業を示すこの指標は51.2と、予想(54.4)、前月(55.1)をともに下回った。50を超える数値は引き続き、経済活動の拡大を示しているが、数値が低下傾向にあることが懸念されている。ISMのデータは2021年末から徐々に低下している。
サービス業は米国で最大の産業である。そのため、非製造業PMIのさらなる悪化は米経済成長に歯止めをかける可能性がある。米国債利回りが低下し、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)がハト派姿勢を強めるとの観測が高まった。今回、ハイテク株が下落したのは、予想外に軟調な米経済指標が景気後退懸念の可能性を高めたことに市場が注目したためと見られる。
6日のAPAC(アジア太平洋地域)市場では、財新(Caixin)/S&Pグローバルが 3月の中国購買担当者景気指数(PMI)を発表する。世界第2位の経済大国である中国の経済は、ゼロコロナ政策の大幅緩和後、徐々に回復している。経済活動のさらなる改善が示されれば、リスク選好度が高まる可能性がある。それ以外の地域では、米国株式市場の慎重なムードを引き継ぎ、各株式相場はボラティリティが高まるかもしれない。
ナスダック100のテクニカル分析
日足チャートでナスダック100指数は、以前レジスタンスゾーンだった12,846-12,987付近に再び戻っている。このゾーンが新たなサポートとして機能して価格が上昇に転じれば、このレンジが変曲点として強化されるだろう。一方、下降に転じれば、短期的なテクニカル分析見通しは弱気に傾きそうだ。しかし、1月からの上昇トレンドラインは、より長期的な視点における上昇軌道を維持していることに留意されたい。
資料:TradingView
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--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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