メキシコ中銀は政策金利を11.25%で据え置いた。メキシコペソの実質金利の動向、そしてメキシコペソの今後の見通しは?



サマリー
- メキシコ中銀は政策金利を据え置き
- FRBの利上げ終了はMXNをサポート
- メキシコペソの対円での見通しは?
メキシコ中銀は政策金利を維持
メキシコ中央銀行が金融政策決定会合を開催し、事前の市場予想通り、政策金利を11.25%で据え置いた。3会合連続の政策金利据え置きで、中央銀行政策メンバー全員一致の決定であった。メキシコのインフレは鈍化傾向であるものの、中銀のインフレ目標(3%±1%)を上回っており、「政策金利は現在の水準に長期間維持する必要がある」との見方が示され、ブラジル等一部の中央銀行が利下げに転じる中でも、利下げに対して慎重な姿勢が示された。また、インフレについては、足元鈍化しているものの依然として高いと指摘し、今後は予想を上振れるリスクについても言及し、インフレに対する警戒感が高いことを示した。メキシコ中銀の高い政策金利を維持する姿勢は、実質金利が今後も高水準で推移する可能性を示唆している。通貨の動きは実質金利の動向と連動する傾向があり、高い実質金利はメキシコペソのサポート要因となることを見込む。

資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。実質金利は各国10年国債から消費者物価指数(前年比)を引いて算出。
FRBの利上げ終了は、メキシコ経済・通貨をサポート
メキシコは米国と地理的にも経済的にも結びつきが強い。米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げは米国景気の重荷となってきたが、利上げ終了が近付いていることは、米国経済のみならず、メキシコ経済、そしてメキシコペソにとってプラスである。
底堅い米国景気を受け、メキシコ景気の先行指標である製造業購買担当者景気指数(PMI)は、好不況の分かれ目である50を上回っており、メキシコ景気が底堅く推移していることを示唆している。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。
メキシコペソ/円の見通し
メキシコペソの対円の日足チャートは、3月後半以降、連続する高値と安値が切り上がっており、上昇圧力が強いことを示唆している(ダウ理論)。また、9,20,50,200日指数移動平均線が上向きかつ、上から順に並ぶの強気の「パーフェクトオーダー」が成立している。更に、7月5日高値8.511レベルを終値ベースで更新し、MXN高の勢いが一段と強まっていることを示唆している。
日本銀行はイールドカーブコントロール政策(YCC政策)を修正したものの、当面の金融緩和維持を示唆している。加えて、米FRBの利上げ終了が近付き、メキシコ中銀の高い政策金利維持を見込む中、2014年11月高値8.721レベル(メキシコペソ高円安)が視野に入る。
一方、メキシコペソの下値の目途として、8.511レベルがサポート転換したかに注目。サポート転換していることが確認された場合、MXN高地合いが強いことを投資家に印象付けよう。下方ブレイクした場合、4月以降のサポートとして機能してきた50期間指数移動平均線(現在8.259レベル)をトライしよう。
MXNJPY日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著