※2023年6月1日17時27分更新
ドル、円、ドル/円 – 値動き
- ドル/円は今月初め、重要なレジスタンス138.00を上回った
- しかし、ドル/円の強気トレンドの復活時期を決め込むのは時期尚早かもしれない
- ドル/円の見通しと注目すべき手掛かりとは?



最近のドル/円チャートと、ドル/円と相関関係がある米国債利回りのチャートには、今後数週間のトレンドを掴むうえで注目すべきポイントがいくつかある。
月足チャートで、ドル/円は2月から10%近く上昇したにもかかわらず、14カ月RSI(相対力指数)では目立ったモメンタムの改善はほとんど見られない。前回同じような状況になったときは、その後数カ月間、横ばいの状態が続いた。このような状況は通常、反発ではなく、強気な状況の「後退」を意味する。最終的にはモメンタムは正常化し、2021年に大幅上昇するための土台を作る水準まで戻った。
ドル/円 月足チャート
資料:TradingView
今回、ドル/円は、2012年から2015年の強気な動きと同様に、50.00上昇するという目標を達成した。つまり、ある意味、今のところ「役割を果たした」と言える(リスクは、上げ幅拡大が100%以上の動きとなることである)。
米10年債利回り 週足チャート
資料:TradingView
同様に、米10年債利回りの月足チャートでも、同利回りは直近で4月の高水準である3.64%に位置する重要なレジスタンスを上方ブレイクしたにもかかわらず、モメンタム(14カ月RSI)は大きくは改善されていない。利回りは引き続き、下降ぎみのレンジ内にとどまっている(週足チャート参照)。
ドル/円 四半期足チャート
資料:TradingView
長期的な観点からは、2022年末に指摘したように(「円相場見通し|2023年第1四半期のテクニカル分析」参照)、ドル/円は昨年12月に四半期足チャート上で、重要な収束レジスタンスで弱気に反転した。同様に、米10年債利回りも、四半期足チャート上の一目均衡表の上端付近にある89四半期移動平均線に位置する手強い収束バリアをなかなか上抜けずにいる。
米10年債利回り 四半期足チャート
資料:TradingView
以上のことから、138.00の壁を上抜けたことは、ドル/円の強いトレンドの復活を示すものではない可能性がある。実際、この上方ブレイクはより長期的な視点から見てレンジ相場の一部かもしれない。過去の動きが何らかの指針になるとすれば、勢いが大幅に増すか、強気な状況が十分に解消され、新たな強気サイクルが始まる素地が設定されない限り、強いトレンドの再来はなさそうだ。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView
とはいえ、ドル/円は1月から続く上昇チャネルの上端を含むいくつかのレジスタンスを試しているにもかかわらず、差し迫った反転の兆候はない(日足チャート参照)。トレンド/モメンタム指標に基づく色分けされた240分のローソク足チャートが示すように、ドル/円は短期的には長期の強気局面にある。89期間移動平均線と5月初旬の高値を含む直近の収束サポートエリア137.75-138.50を下回らない限り、今のところ、横ばいからやや上向きの動きが予想されることに変わりはない。
ドル/円 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
注:ローソクの色は予測ではなく、単にその時のトレンドを示しています。実際、ローソクの色は次のローソクの際に変化することがあります。200期間移動平均線付近やサポート/レジスタンス付近、もみ合い/不安定な値動きの際は、本来のトレンドとは異なる、騙しのパターンが発生する可能性もあります。筆者は情報の正確さを保証しかねます。また、過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。本情報のご利用は、自己責任にてお願いします。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。