オーストラリアにある世界有数のLNG(液化天然ガス)施設でストライキが開始した。天然ガスの供給減との思惑から、天然ガス価格は上昇したが、天然ガス価格の今後の見通しとは



サマリー
- 世界有数のLNG施設でスト開始
- 天然ガス価格は上昇
- 天然ガス価格の見通し
豪LNG施設でストライキ開始
米シェブロンのオーストラリアの液化天然ガス(LNG)施設の労働組合(オフショア・アライアンス)は、8日午後より、ストライキに突入した。労働組合は、最長9月末までストライキを続けることを示唆している。8日からのストライキは部分的なものにとどまっているものの、今後も労働組合とシェブロンの交渉が長引いた場合、全面的なストライキに移行すると警告している。ストライキが開始されたことを受け、天然ガス価格は8日に1%超上昇した。

資料:Trading Economics
ストライキが実施されるのは、シェブロンの「ゴーゴン」と「ウィートストーン」の2か所のLNG施設で、世界全体のLNG生産量の5%以上を占める。世界有数のLNG施設であることから、ストライキの動向によって、天然ガスの供給が変化し、今後も天然ガス価格が上下双方に大きく動く可能性がある。



天然ガス価格見通し
天然ガス価格(NG1)は、ストライキ開始を受けて上昇したものの、7月以降、2.455―2.793レベル(MMBtu当たり)のレンジで推移している(8月9、10日除く)。
天然ガスの日足チャートで、RSIは50前後で推移しており、テクニカル面では中立であるものの、下落トレンドの反転を示唆することがある「陰のはらみ線」が示現している。
テクニカル面で中立である中、LNG施設での労働ストライキが長引いた場合、天然ガスの供給減との思惑から、レンジ上限2.793レベルへ向かって上昇することを見込む。上方ブレイクすると、天然ガス価格の7月以降のレンジ相場が終了し、上昇トレンドへの転換が視野に入る。
一方、労働組合と会社との間で合意に至り、ストライキが終結に向かった場合、天然ガスの供給リスク後退との見方から、天然ガス価格は下落しよう。その場合、レンジ下限2.455レベルでサポートされるかに注目。下方ブレイクすると、天然ガス価格は下落トレンドへ転換した可能性が高まる。
天然ガス価格(NG1)日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著