


第3四半期から大きな変化はなく、日銀が経済成長を刺激するためにハト派的な金融政策を維持する中、日本円は対米ドルに対して下落幅を拡大させている。2022年現在において、約20%下落している(以下のチャートを参照)。
日本円はG10の通貨の中で最もパフォーマンスが悪く、FRBの利上げが2022年も続くと予測されていることから、引き続き弱含みである可能性が高い。
世界各国の通貨対米ドルの比較 年初来の累計値

出所:ロイター
FRBは11月に0.75%の追加利上げ、12月にも0.75%の追加利上げを実施する可能性が高いと予測されている。世界の他の国々がFRBの方向性に追随しようと考慮している中、日銀は反対の立場にある。そのため、日本の消費者にとって輸入コストが上昇するなど、日銀は考慮すべき課題を多く抱えている。したがって、今後の日銀による金利決定が鍵と言えよう。以下の中央銀行カレンダーを参照してほしい。
中央銀行カレンダー

出所:DailyFX中央銀行カレンダー
最近の日銀による為替介入は、1998年以来初めて米ドル売り日本円買いを実施したことで、日本円にある程度の安心感を与えた。2023年にFRBが利上げを実施しないことを決定すれば、長期的な円高につながる可能性がある。145.00の心理的な節目は、日銀にとって「超えてはならない水準」であることが明確になったようだ。
米ドル/円 週足チャート

チャート作成:IG証券 ウォーレン・ベンケタス
長期的な展望では、2022年の米ドル/円における指数関数的な上昇というファンダメンタルズ環境を適切に示している。日銀が景気刺激策を先送りした場合、30年以上前の水準が再び脅威となるだろう。
ウクライナ情勢の緊張の円相場との関係性
RSIは潜在的な弱気のダイバージェンス(赤)を示し、それにより価格行動はRSIの予測と反対を示している。一般的に弱気のダイバージェンスは、下落への反転が差し迫っていることを示しており、ウクライナ情勢の緊張の高まりによって悪化する可能性がある。そのため、投資家は安全資産である日本円に向かうことになる。現在、週足では長い上ヒゲがこの展開を支持しているが、ローソク足は(本記事執筆時点では)、まだ閉じていない。このまま終了すれば、価格は再び140.00に向かう可能性がある。
米ドル/円 日足チャート

チャート作成:IG証券 ウォーレン・ベンケタス
短期間の日足チャートでは、週足の予測と同様の展望を反映している。為替介入により米ドル/円は大幅に下落したが、現在のFRBと日銀における政策の方向性が異なることを考慮すると、日本円の強さに関してこれ以上のものは予測していない。
主要なレジスタンスレベル
- 150.00(最後に確認されたのは1990年8月)
- 147.63(1998年8月のスイングハイ)
- 145.00
主要なサポートレベル
- 139.98 (フィボナッチ76.4%)/50日指数平滑移動平均線(青)
- 100日指数平滑移動平均線(黄)
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