※2023年6月14日15時56分更新
金、金/ドル、米CPI、FOMC、FRB、米国債利回り、ドル - トーキングポイント
- 米CPIの軟化で米国債利回りが上昇したことを受け、金相場は下落した
- CPIの方向性は改善しているが、まだやるべきことはあるかもしれない
- きょう14日夕(米国時間)のFOMC会合やFRB議長の会見は、今後のFRBの金利見通しを見極める手掛かりとして注目されている



金先物相場は、5月の米消費者物価指数(CPI)の軟化を受けドルは下落したものの、きょう開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控える中、軟調に推移している。
5月の米CPI総合指数の上昇率は前年同月比4.1%と、前月(4.9%)からは大きく後退した。予想(4.1%)はわずかに下回った。前月比での伸び率は0.1%と、予想と一致し、前月(0.4%)を下回る結果となった。
コア指数の伸び率は前月比0.4%と、予想と一致した。前年同月比では5.3%と、予想(5.2%)をわずかに上回り、前月(5.5%)をやや下回った。
総合指数の伸びが大きく鈍化したのは、2022年5月の数値が前月比0.9%低下と、大きく後退したことが影響している。
下図を見ると、この結果はエネルギー価格の下落が主因のようで、需要よりも供給の変動に影響されたと考えられる。
資料:ブルームバーグ、tastylive
それでも、インフレは正しい方向に向かっているようだ。物価上昇圧力の絶対水準は引き続き、問題があるが、米連邦準備制度理事会(FRB)はきょう14日に開催されるFOMC会合で利上げを「見送る」可能性があるように思われる。
インフレ率がFRBの物価目標である年率2%に到達するのはまだ先だが、7月のFOMC会合までには、参考にすべき一連の経済指標が再び発表される。
いずれにせよ、米金利スワップ市場では、きょうのFOMC会合では利上げを見送り、7月または9月の会合で25ベーシスポイントの利上げを実施する可能性が75%程度と見られている。
資料:ブルームバーグ、tastylive
13日のニューヨーク金先物相場が下落したのは、米国債利回りの上昇も一因かもしれない。同日は2年債から10年債の利回りの上昇が目立った。1年債利回りは引き続き、23年ぶりの高値水準付近を維持している。
さらに、5月の米CPIコア指数は、消費者物価が依然として高水準を維持していると捉えられ得る。インフレ圧力が長引けば、今後の会合でFRBがよりタカ派的な発言を再開する展開も視野に入る。
GC1(期先の金先物取引)のテクニカル分析
資料:TradingView
金相場は上昇トレンドラインを再び下回り、今後数日間で重要な局面を迎えるかもしれない。
価格の下には現在、100日単純移動平均線(SMA)が位置している。このSMAは、サポートゾーン候補である過去の安値圏1,936-1,945エリアのすぐ上に位置している。これらの水準を決定的に下方ブレイクすると、弱気な展開となる可能性が出てくる。
上値では、2,000を超える水準を維持できれば、短・中・長期の日足SMAを全て上回ることになる。そうなると、強気の勢いが再び増す可能性が開かれる。
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。