※2023年6月5日15時36分更新
対米ドル・ユーロ・豪ドルでの値動き – 円相場見通し



米連邦準備制度理事会(FRB)当局者のハト派発言により米利上げ期待が後退する中、円相場は下落し、勢いを失っている。
FRB副議長を含む複数のFRB当局者が6月の利上げを「見送る」可能性を示唆したため、市場では6月13-14日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で政策金利が据え置かれる確率が、1週間前の35%から79%に引き上がった。フィリップ・ジェファーソンFRB副議長は先週後半、「次回会合で利上げを見送れば、委員会は今後の政策金利を決定するうえで、より多くのデータを評価できる」との考えを示した。
ジェファーソン副議長は、金利を安定的に維持することを決定したとしても、引き締めサイクルの終了と見なすべきではないとも述べた。また、パウエルFRB議長は先月、信用状況の引き締まりを考慮し、6月の会合で利上げを見送る可能性を残したが、FRBは今後、「会合ごとに」決定を下すとの考えを改めて示した。
米ドル/円 日足チャート
作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
8日には内閣府が2023年1-3月期の国内総生産(GDP)と景気ウォッチャー調査を公表予定で、景気動向に何らかの明るい兆しが見られる可能性がある。マクロ経済指標はこのところ振るわず、日本のエコノミックサプライズ指数は1月以来の低水準となっている。日本の消費者物価指数(CPI)総合指数は緩和傾向を示しているうえ、日銀(BOJ)は大規模緩和政策を維持しているため、現在のところ、米ドル/円をどちらかの方向にしっかりと導く金融政策の手がかりはほとんどない。詳細については、6月1日付記事「円相場見通し:最近の円安に納得、円一段安の始まり?」をご覧ください。
米ドル/円 240分足チャート
作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
米ドル/円:重要なサポートを上回る水準を維持
米ドル/円は、240分足チャート上の89期間移動平均線と一目均衡表の雲下辺に位置するかなり強い収束サポートから反発した。しかし、色分けされたローソク足チャートが示すように、長期トレンドとして見た米ドル/円は、短期の強気相場におけるもみ合い局面にある(240分足チャート参照)。
先週は、1月からのピッチフォークチャネルの中間線(141.30付近)に位置する手強いレジスタンスから後退した。この水準は、同じく年初から続く上昇チャネルの上端とほぼ一致している。米ドル/円は直近では反発の動きが見られるが、先週の高値141.00が引き続き上値を抑える可能性がある。下降局面では、5月中旬の安値133.75を割り込まなければ、当面は上昇の勢いが衰えることはないだろう。
ユーロ/円 日足チャート
作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ユーロ/円:レンジ相場延長の可能性
先週のユーロ/円は、5月初旬の高値151.60を再び試したにもかかわらず、モメンタムが急ピッチで低下した。3-5月の相場上昇を考慮すると、これは、もみ合い局面が長引く可能性を示唆している。この動きは、2022年半ばを始点とする上昇チャネルの上端から後退した流れに続くものである(図参照)。ユーロ/円が145.50-146.50の下限を下回らない限り、より広範な上昇トレンドが転換するリスクはないと思われる。まとめると、ユーロ/円は当面、146.00-152.00のレンジに落ち着く可能性がある。
豪ドル/円 日足チャート
作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
豪ドル/円:重要な天井でもみ合い
豪ドル/円は、2月の高値93.00と重なる、200日移動平均線という厳しいレジスタンスを再び試している。興味深いことに、先週見せた豪ドル/円の強さを反映したような大幅なモメンタムの回復は見られない。通貨ペアの見通しを大きく改善するためには、このレジスタンスを上抜ける必要がある。強気派にとって心強い兆候は、豪ドル/円がサポートを割り込んでいないことで、最終的に上昇する可能性は維持されている。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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