※2023年7月11日11時20分更新
円、ドル/円、米国債利回り、テクニカル分析 – APAC市場まとめ
- 円は対ドルで大幅続伸
- 米国債利回りの軟化に連動する形で、ドル/円は下落
- ドル/円は重要なトレンドラインを下方ブレイクした



10日のニューヨーク外国為替市場で円相場は主要通貨、特にドルに対してアウトパフォームした。ドル/円は過去2日間で約1.9%下落し、下落率は5月以来最大となった。それ以上に、この下落の動きは非常に珍しい出来事だった。2000年に入ってからのデータを振り返ると、1.9%の下落は平均からマイナス2.2の標準偏差に相当する。
10日の円の値動きを詳しく見ると、円高進行と米長期債利回りの低下の動きが連動していることが分かる。10年債利回りは1.8%近く低下し、6月20日以来最大の下落率を記録した。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は、金利は上昇傾向にあり、金利上昇は長期化もあり得ると繰り返し述べたにもかかわらず、である。
トレーダーは恐らく、今週の米インフレ発表に向けてポジションをとっていたのだろう。12日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)総合指数は前年同月比3.1%上昇と、5月(同4.0%上昇)から伸びはさらに鈍化すると見られている。しかし、これは主に食品とエネルギー価格にディスインフレが起こっているためである。変動の少ないコア指数の伸び率は、5月の5.3%から5.0%に低下すると見られている。
これは、根本的なインフレが定着し、対処がより難しくなっていることを示唆しているため、FRBにとって良い傾向ではない。投資家は、インフレがより緩やかな伸びを示し、FRBがタカ派トーンを抑えることを期待しているだろう。円のファンダメンタルズは、日銀が同じ金融政策を堅持しているため外部要因の影響を受けやすくなっており、特にドル/円は米国債利回りの動向に敏感になっている。すなわち、米国債利回りが低下すると、円にはプラスに働く可能性が高い。
円のテクニカル分析
過去2日間の下落により、ドル/円は年初から続き、勢いが増している上昇トレンドラインを下方ブレイクしたことが確認された(下図参照)。その結果、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準140.85が当面のサポートとなった。その下には50日単純移動平均線が控えている。この移動平均線は下値を支え、幅広い上昇バイアスが維持される可能性がある。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView



--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。