※2023年9月11日15時41分更新
円、ドル/円、ドル、日銀、植田日銀総裁、介入、日本国債、利回り - トーキングポイント
- 植田日銀総裁の発言を受け、11日のドル/円は後退
- 日銀は、この先の政策調整に向けて市場に心構えをさせているように見える
- 日米国債利回りのイールドスプレッドは注目に値するかもしれない



植田和男日銀総裁の発言により、マイナス金利政策(NIRP)終了への思惑が広がり、週明け11日の円相場は突飛な出だしとなった。
11日早朝のアジア取引で、ドル/円は10カ月ぶりの高値147.87から後退した。146.67まで下げた後、147付近でとどまって推移している。きょうの安値はこれまでのところ、先週金曜の安値146.59をわずかに上回っている。
日銀の植田総裁は読売新聞の単独インタビューに応じ、賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てた段階になれば、金融政策には色々なオプション(選択肢)があると語った。
マイナス金利政策の解除のタイミングについては、「経済・物価情勢が上振れした場合、色々な手段について選択肢はある」と述べ、政策調整は状況次第であることを強調した。
しかし、市場は日銀に引き締めを求めるあまり、先走ったかもしれない。植田総裁は「物価目標の実現にはまだ距離がある。粘り強い金融緩和を続ける」との姿勢は崩さなかった。
日銀は短期政策金利を-0.10%とし、10年債利回り水準の許容変動幅を上下0.50%とするイールドカーブコントロール(YCC)政策を維持している。
日銀はYCCの実施を柔軟化しており、最近では10年債(JGB)の指し値オペの利回り水準の0.50%超えを容認している。きょうの10年債利回りは0.69%で取引され、約10年ぶりの最高水準となった。
日米の国債利回り格差(イールドスプレッド)は、伝統的にドル/円と強い相関関係があるため、注目に値するかもしれない。今後数日間は、イールドスプレッドに関するボラティリティが上昇する可能性がある。
ドル/円の推移と日米10年債のイールドスプレッド
資料:TradingView
植田総裁の発言は、先週の神田真人財務官、高田創日銀審議委員の発言に続くものだ。
ドル/円が再び上値追いの展開となれば、日本政府当局者がさらに見解を示すと予想するのが妥当かもしれない。
市場では一般的に、相場が152.00に向かうまでは、物理的な介入は行われないと見られている。2022年11月の高値は151.95だった。
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ドル/円のテクニカル分析
ドル/円は、先週火曜に10カ月ぶりの高値を付け、その後は146.59-147.87のレンジで推移している。レンジどちらかの端をブレイクアウトすると、その方向に勢いが増す可能性がある。
強気な展開となった場合、過去の高値である148.85と151.95がレジスタンスになり得る。
下降局面では、145.05-145.10エリアのブレイクポイントがサポートとなり、その下の144.50および141.50付近には過去の安値が控えている。
34日単純移動平均線(SMA)も144.80付近にあり、これがサポートとなる可能性がある。
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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