円、ドル/円、ドル、米CPI、暗号資産、FTX、PPI、原油、金 – トーキングポイント
- ドルの下落を受け、円は地合い固めが大きく進展
- 米CPIの発表をきっかけに成長型資産に投資が向かい始め、株式相場は急騰
- FRBが引き締め姿勢を緩めた場合、ドル/円は循環的な動きの中で高値を迎えたことになるのか?



10日のニューヨーク外国為替市場で円相場は対ドルで急伸。10月の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことを受けてリスクオンムードが広がり、ドルが全面安となったことが背景にある。きょう11日のアジア取引時間帯では、ドルは小幅に反発している。
10月の米CPIは前年同月比7.7%上昇と、予想(同7.9%上昇)、前月(同8.2%上昇)を共に下回り、コア指数の伸び率も同6.3%と、予想(同6.5%)、前月(6.6%)を共に下回る結果となった。
米国債利回りは低下し、長期金利の指標となる10年物国債利回りは4%を割り込み、一時は3.8%まで下がった。週明けには4.20%を超える水準で取引されていた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げをペースダウンするという期待は、複数のFRB高官の発言によって裏付けられているようだ。
パトリック・ハーカー氏、ロリー・ローガン氏、メアリー・デイリー氏、ロレッタ・メスター氏、エスター・ジョージ氏など、多くの米地区連銀総裁がそれぞれの意見を述べた。
全体的なメッセージは、今後は慎重なアプローチが適切と思われるが、金融情勢は当面、引き締まった状態を維持する必要があるというものだった。
北米の現物株市場では、ダウ工業株30種平均が前日比3.70%高、S&P 500種株価指数が5.54%高、ナスダック100指数が7.35%高と驚異的な上昇を見せた。先物市場は11日も堅調な寄り付きとなることを示している。
11日のアジア太平洋地域の株式もこの流れを引き継ぎ、香港のハンセン株価指数(HSI)が一時7%超の上昇となるなど、地域全体で堅調に推移している。
日本の生産者物価指数(PPI)は高止まりしており、きょう11日に発表された10月のPPIはまちまちの結果だった。10月の前月比では0.6%上昇と、前月(0.7%上昇)を下回った。前年同月比では9.1%上昇と、前月(9.7%上昇)は下回ったものの、予想(8.8%上昇)は上回った。この格差は、前月分が上方修正されたことによって説明できる。
暗号資産(仮想通貨)市場は、週明けのFTX暗号資産取引所の崩壊で激震が走ったにもかかわらず、リスクオンムードを背景に落ち着きを取り戻した。
10日のニューヨーク金先物相場はドル安を追い風に、1,760ドルに達した後、きょう11日のアジア取引時間帯の大半は1,750ドル近辺で推移している。
10日の原油先物相場は、他市場の動きを受けて伸び悩み、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は86.50ドルを上回る水準、ブレント原油先物は94ドルを目指す動きとなるなど、わずかな上昇にとどまった。
今後は、英国の国内総生産(GDP)、貿易収支、鉱工業生産に続き、米国ではミシガン大学による消費者信頼感指数が発表される。
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ドル/円 テクニカル分析
10日のニューヨーク外国為替市場でドル/円は、上昇トレンドラインに向かって下落したが、下抜けることはなく、9月下旬の安値140.35も下回らなかった。これらの水準は引き続きサポートとなる可能性がある。
さらなる下降局面では、139.39のブレイクポイントが売り手にとって壁となるかもしれない。
価格は21日単純移動平均線(SMA)を基にしたボリンジャーバンドの下限を下回る水準まで下げ幅を拡大した。価格がバンド内に戻って終値を付ければ、戻りは一服となるか、あるいは反発となる可能性がある。
143.53、145.11、145.47のブレイクポイント、あるいは直近の高値148.85がレジスタンスとして機能しそうだ。

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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