


2022年第4四半期の円相場概要
日本円は2022年第4四半期に、米ドルに対して反発を開始した。米ドル/円は12月中旬までに約6.5%下落し、2016年4月以来、過去最低の3ヶ月間を記録している。米国債利回りは特に長期国債を中心に下げに転じた。マーケットがタカ派的な姿勢ではないFRB(米連邦準備制度理事会)を織り込む一方で、日銀は現状維持を続けたことにより、景気後退への懸念が高まったことがますます反映されている。今後数ヶ月に向けて、日本円が再び反発する可能性は考えられるだろうか。
米ドル/円・米国債10年利回りのチャート

出所:TradingView
円相場予測モデルの構築
2007年以降、特定の変数が四半期ごとに米ドル/円に対して及ぼしている影響を明確にするために、重回帰分析モデルが構築された。変数には、米国CPI、米国実質GDP、FRBのバランスシート、米国10年債利回りなどが含まれる。
さらに、特定の変数における統計的有意性を高めるために、実質GDPデータの95パーセンタイルおよび5パーセンタイルにもとづいて、一部分のデータポイントが削除されている。つまり、このモデルが2021年第2四半期、第3四半期、第4四半期、および2007年から現在までにおける一部分の外れ値を除外していることを意味する。これは、世界的なパンデミックによって失われた基本的なトレンドを評価するために実施された。
以下のチャートでは、モデルが2007年以降の米ドル/円(前年比)を推計している(濃い黒線)。グレーの線は、実際の為替レートのパフォーマンスを表している。このモデルの適合度は全体として、0.52である。つまり、米ドル/円における変動の約52%が変数で説明できることになる。このモデルを適用することで、ブルームバーグが調査した今後4週間の経済予測を連動させて、米ドル/円の動向を確認できる。
2007年以降の米ドル/円モデル(米国GDPにもとづく外れ値を除外)

出所:ブルームバーグ、モデル及びチャート作成:ダニエル・ドゥブロフスキー
米ドル/円相場は今後数カ月間で下落する可能性がある
今後の数四半期にかけて、米国CPI、米国実質GDP、米国10年債利回りが低下すると予測されている。加えて、FRBの予測を用いてFRBのバランスシートの軌道を推定すると、モデルでは2022年第4四半期の米ドル/円は前年比約15%上昇しており、比較対象である12月14日の実績は17.61%であった。
以下のチャートでは、状況が悪化することを示している。モデルでは、2023年第1四半期に米ドル/円は前年比0.2%下落、第2四半期に前年比8.7%下落すると予測している。さらに、各四半期における標準偏差±1を表す不確実性の領域によると、第1四半期ではそれぞれ前年比+7.54%、-8.59%に相当する。第2四半期では、前年比-0.03%と前年比-16.15%を表している。
つまり、第1四半期は(130.58 – 110.86)、第2四半期は(135.22 – 113.68)というゾーンになることが予測される。言い換えれば、米ドル/円は第1四半期に値動きが激しくなり、第2四半期には安定する可能性がある。2007年以降におけるモデルのデータは、ほとんどが標準正規分布、つまりベル型曲線に当てはまるため、潜在的な結果の約68%がこれらのエラーゾーンに入る可能性がある。
このデータは、特定の水準に焦点を当てるのではなく、米ドル/円が今後数ヶ月間で下落を続ける可能性があることを示唆しているようだ。この可能性は米国のインフレが鈍化し、FRBが金融引き締めを減速させると予測されることと合致する。また、日銀が方針を変更する可能性は低いため、再び日本以外の国の動向が注目される可能性が高い。
経済モデルによる米ドル/円予測

出所:ブルームバーグ、チャート及びモデル作成:ダニエル・ドゥブロフスキー