※2023年6月15日17時32分更新
対円での米ドル、英ポンド、豪ドル - 値動き



米国の長期金利の上昇、広範なリスク選好度の改善、そして先週、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)とカナダ銀行(BOC、中央銀行)が実施した予想外の利上げは、低金利な円が他の通貨に対して弱気との見方を強めている。
確かに、最近の円安は、RBA、BOC、イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)など中央銀行が引き締めモードにある通貨に対してより顕著だが、利上げが見送られた通貨(米連邦準備制度理事会=FRB)や利上げサイクルがピークに達していると中央銀行が指摘した通貨(ニュージーランドドル)に対してはそれほどではない。より詳しい議論は、6月1日付記事「円相場見通し:最近の円安に納得、円一段安の始まり?」、6月5日付記事「円週間見通し:米利上げ観測後退の中、軟調。対米ドル・ユーロ・豪ドルでの値動きとは?」をご覧ください。
FRBは14日、政策金利を据え置いたが、インフレ率の鈍化が予想以上に遅く、米国経済は回復力があることを理由に、利上げサイクルは終わっておらず、最大50bpの利上げが必要になる可能性があると指摘した。市場の関心は今、16日に開催される日銀会合に移っている。日銀は大規模緩和政策を維持し、イールドカーブコントロール政策への変更もないと予想されており、円の弱気バイアスが再確認されると見られている。
日銀の植田和男総裁は、2%のインフレ目標を持続的に達成するにはまだ時間がかかるため、日銀は辛抱強く金融緩和政策を維持するとの見解を改めて示した。内閣府が先週8日に発表した今年1-3月期の国内総生産(GDP)は、国内消費と在庫積み増しに支えられ、予想を上回る伸びとなった。
米ドル/円 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
米ドル/円:重要なレジスタンスを再び試す
米ドル/円は、2023年初頭を始点とする上昇チャネルの上端、2022年末の高値142.25と重なる力強い収束レジスタンスを再び試している。このエリアの上方には、1月からのピッチフォークチャネルの中心線(143.75付近)に別のレジスタンスが控えている。今のところ、上昇トレンドが反転する兆候はなく、今月、3月高値137.90の重要なサポートから反発したことにより、米ドル/円は上昇の可能性が出てきている。6月上旬の安値138.50を下方ブレイクしない限り、上昇圧力が弱まることはなさそうだ。
豪ドル/円 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
豪ドル/円:重要な天井を突破
豪ドル/円は、2月の高値93.00、200日移動平均線に位置する厳しいバリアを上抜けた。この上方ブレイクは強いモメンタムがある中で行われた。そのため、4月から続く上昇チャネルの目標価格である96.50に向けて上昇する可能性が示唆されている。
英ポンド/円 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
英ポンド/円:高値追いの展開へ
英ポンド/円は2月からのピッチフォークチャネルの中心線を上方ブレイクし、これにより価格は高値追いの展開となる可能性が示されている。中心線はここ数週間、硬いレジスタンスとして機能していただけに、この上方ブレイクは上昇ピッチが加速する可能性も示している。とはいえ、価格は買われ過ぎの状態にあるように見え、短期的にはもみ合いや小幅下落の展開となる可能性も排除できない。次に控えるレジスタンスはチャネル上端(現在181.75付近)だろう。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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