※3月27日13時06分更新。
日本株、ドル円、ボラティリティ、インフレ-トーキングポイント
- 金融不安を受け、銀行株は軟調も日経平均は上昇
- 為替やボラティリティの観点からは日本株の下落余地があるが、、、
- 短期的には中立も下落が視野



円高警戒感続く
先週金曜日の日経平均は小幅安となった。円高進行や欧米の信用不安を受けて金融関連株等が下落した。今週は主要国での金融発表が予定されていない中、各国経済指標、中銀高官の発言等に加え、金融不安が引き続き市場の注目になろう。
日本では31日金曜日に東京都区部の消費者物価指数(3月)が公表される。先週公表の日本全体の消費者物価指数(2月)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数で前年同月比で3.1%と1年1か月振りに伸びが鈍化した。一方、政府による電気・ガス料金の抑制策が影響しない生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は3.5%の上昇となり、1月(3.2%上昇)から伸びが加速した。東京都区部の消費者物価指数は、日本全体の消費者物価指数と高い相関がある。4月からは植田新日銀総裁による初めての金融政策決定会合が開催される。金曜日の東京都区部の消費者物価指数は今後のインフレ動向、金融政策動向を占う上で重要になる可能性もあり注目したい。

資料:Trading Economicsより作成
本日の日本株は小幅に上昇している(13時05分現在)。先週末比、陸運や不動産セクター等が上昇している一方、精密機器セクターや欧米の金融不安を受けて銀行セクターが軟調に推移している。先週末の米国株が上昇したことが背景にあろう。

チャート作成:DalyFX.comが作成、資料:Bloomberg
ドル円リスクリバーサル
USD/JPYのリスクリバーサルは、円コールオーバー(マイナス)の解消の動きは見られず、円高への警戒感が強いことが伺える。金融不安が継続する中、安全資産通貨である円の需要は底堅い(円高圧力)ことを示唆している。

チャート作成:DalyFX.comが作成、資料:Bloomberg
ドル円オプション インプライドボラティリティ(IV)
米ドル円の通貨オプションから算出されるインプライドボラティリティは昨夏以降の高い水準が継続しており、市場参加者はドル円が大きく動くことに警戒感を持っていることが確認できる。金融不安が高まった際や日銀の金融政策に対する思惑が高まった際には一段の円高に振れる可能性があろう。

チャート作成:DalyFX.comが作成、資料:Bloomberg
日米ボラティリティ指数
金融不安は依然として燻っているものの、市場参加者の日米ボラティリティの予想値(インプライドボラティリティ)は既に低下に転じている。コロナショック後の平均と比べても低い水準になっており、円高進行、金融不安が再び高まった際にはボラティリティが上昇する余地があるとも言える。ボラティリティが上昇した際には、株価は下落する傾向がある。

チャート作成:DalyFX.comが作成、資料:Bloomberg
為替やボラティリティの観点からは日本株には下落余地があると思われるが、テクニカル面を踏まえた今後の日経平均の見通しは?
日経平均:短期的には中立も下落が視野
週足や日足チャートを確認すると、中立なパターンである対称三角形(シンメトリカルトレーディング)を形成している。
日経平均(先物)週足チャート

資料:Trading Viewより作成
日経平均(先物)日足チャート

資料:Trading Viewより作成
しかしながら、4時間足では、下落トレンドの継続を示唆する上昇ウェッジが形成されている。上昇ウェッジのパターンが示唆する上昇軌道に沿った動きをする可能性もあるため、短期的な日経平均の見通しは中立とする。ただし、日経平均のボラティリティ上昇余地があること、円高警戒感の継続を見込むことから、現在26,800前後にあるウェッジ下限ラインのブレイクアウトが確認されれば、弱気に見通しを転換する。ブレイクアウト後は、3月16日に記録した安値26,190が視野に入る。
日経平均(先物)4時間足チャート

資料:Trading Viewより作成
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著