日本株、ドル円、日経平均株価、日本銀行―トーキングポイント



円安と日本株の関係に変化
日銀金融政策決定会合にて当面の金融緩和維持が示唆されたこと等を受け、日本株は上昇した。金融緩和に加え、日本株の上昇は、東証のPBR1倍割れ企業に対する資本効率改善要請や賃金上昇、日本の政治的安定性、景気の底堅さ等複数の要因がサポートしているが、円安進行は日本株の大きなサポート材料の一つである。
6月に入り、ドル円は1円強円安が進行しているものの、日経平均株価は2,500円以上上昇している。年初来、米ドル円はUSドル高円安、日本株は上昇しているものの、6月以降の日本株の上昇スピードは円安の進行を遥かに凌ぐピッチで上昇している。
様々な要因が日本株をサポートしており、日本企業の資本効率改善や日本の賃金上昇等が一段と明らかになるにつれ、日本株が一段と上昇する可能性がある。しかしながら、6月に入ってからの上昇スピートはドル円の観点からは過熱感を示している。
日経平均株と米ドル円

資料:Trading View
日本株に強気な投資家が急激に増加
「日本株見通し:33年ぶりの33,000円!!日本株、次のステップは?」にて示した日経平均株価の目標値33,743円をわずか1週間で上抜け、現在は33,700円近辺で推移している。最近の日本株高を受け、強気な投資家が急激に増加している。日経平均株価のオプションから算出される、プット・コールレシオは2018年以来の1.5倍割れである。同レシオは値が低いほど日本株に強気な投資家が多く、高いほど日本株に弱気な投資家が多いことを示唆する。アベノミクス相場の時と比べ、依然として弱気な投資家が多いものの、最近の同レシオの低下(日本株に強気な投資家が増加)スピートは急激である。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
日経平均株価見通し
中長期的には、日本の構造的変化等を背景として、日本株が一段と上昇することを見込むものの、最近の上昇ピッチを受け、過熱感が台頭している。日経平均株価(先物)の日足チャートで、20日移動平均線からの乖離率も5%を超過している。RSIやMACD(移動平均収束拡散手法)でも「弱気の乖離(ダイバージェンス)」が示現し、上昇の勢いが衰えつつあることを示唆しており、過熱感が和らぐまで中立の見通しとする。
下値の目途として、9日指数移動平均線でサポートされるかに注目。明確に下方ブレイクした場合、上昇トレンドが終了した可能性が高まり、20日指数移動平均線をトライするシグナルとなろう。
一方、移動平均線でサポートされた場合、相場の地合いが強く、上昇トレンドに再突入する可能性がある。その場合、1990年3月高値34,588円が視野に入る。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著