日経平均株価、日本株、バブル後高値、海外投資家、テクニカル―トーキングポイント



日本銀行の金融政策を占う上で重要なインフレ率が公表され、インフレ加速を示したものの影響は限定的に留まっている。日経平均株価はバブル後の高値を更新。日本株に対する見直し機運が高まっているが、テクニカル面では過熱感も見られる。詳しく見てみたい。
40年超ぶりの高水準
日本の全国インフレ率(4月分)が公表された。食料・エネルギーを除くインフレ率(コアコア)は1981年以来初めて4%(前年比)を突破した。ただし、全国インフレ率と高い相関がある東京都区部のインフレ率はインフレの加速を既に示していたため、全国インフレ率も同様に加速することは事前に予想されていた。

インフレは高い伸びを示したものの、他国と比べ依然として低い伸びに留まっており、事前予想を大幅に超えるインフレの加速は見られなかったことから、日銀の金融政策見通しを大きく変えるものではなかったと考える。

資料:Trading Economics
日経平均株価先物の投資家ポジション:強気
日本株の見直し機運が高まっている。しかしながら、日経平均先物のポジション(投機筋)で、ネットポジションは依然として小幅なロング(日経平均を買い持ち)に留まっている。2014年や2015年の水準と比べ大幅に低い水準である。このことは、日本株のポジションを積み増す余地があることを示唆している。ポジション積み増しは日経平均株価の上昇要因となる。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
日本株の海外投資家売買動向:強気
海外投資家による日本株の買い越しが続いている。日本の賃金上昇、底堅い経済成長、企業の資本効率改善に向けた動き、政治的安定性等の日本の構造的変化の兆しが見られる中、「日本株を持たざるリスク」が海外投資家の間にも広がりつつある。日本株は長らく海外投資家から敬遠されてきており、日本株の買い越し余力は依然として大きく、今後も日本株への資金流入が続く可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。先物は日経225とTOPIXの先物・mini合計
日本株テクニカル分析:小休止
日経平均株価(先物)の日足チャートを確認すると、強気の「三役好転」が成立している。一方、RSIは買われ過ぎを示唆する82まで上昇している。また、20日移動平均線からの乖離率は5.4%と大きく、日本株の過熱感を示唆している。投資家ポジション動向や日本のファンダメンタルズは日本株のサポート要因であるが、テクニカル面の過熱感を勘案し、中立とする。心理的節目である30,000円が今後サポートラインとして機能しよう。
日経平均株価(先物)日足チャート




資料:Trading View
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著