ジャクソンホール会議が閉幕。FRBをはじめとした中央銀行トップが集まる重要な会議であった。このような中、金価格の今後の見通しとは。1900ドル台を回復したが、上昇は継続するのか



サマリー
- ジャクソンホール、何を語った
- 金の個人トレーダーセンチメントは?
- 金価格の見通し
ジャクソンホール会議、金価格に中立
主要中央銀行トップが集まったジャクソンホール会議が閉幕した。注目のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演では、利上げの最終到達点が引き上がったことは示唆されなかった一方、追加利上げに関しては今後のデータ次第とし、追加利上げの可能性を残した。
パウエルFRB議長の発言を受け、利上げ織り込みが進展し満期が短い年限の米国債利回りは上昇した一方、利上げの到達点の水準に影響を受ける満期が長期~超長期の米国債利回りは小幅に低下した。米国金利が満期までの年限によってまちまちの動きとなる中、金価格は小幅に下落した。金利が付かない金は、米国金利低下局面で相対的な魅力度が上昇し、金価格が上昇する傾向がある。
9月20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利据え置きとの予想が金融市場で優勢になっている。一方、11月もしくは12月のFOMCにて年内あと1回の利上げがやや優勢になっている。今週は米国PCE物価指数、雇用統計が発表されるが、今後は米国経済指標の動向によって米国政策金利見通し、そして米国金利が変化し、金価格に強い影響を持つことが予想される。
金価格(XAU)と米国10年債利回り

資料:Trading View
金の個人トレーダーセンチメント
IG顧客センチメント(IGCS)によると、金を取引する個人トレーダーの約80%がネットロング(金を買い持ち)にしている。IGCSは、逆張り指標として機能する傾向があり、ほとんどの持ち高はネットロングに傾いているため、金価格は下落する可能性を示唆している。また、昨日、先週と比べてネットのトレーダーの割合が増加している。このことを考えると、個人トレーダーセンチメントは金価格が下落する可能性を示唆している。
IGCS:金




金価格見通し
金の個人トレーダーセンチメントは弱気であるものの、テクニカル面では金の強気シグナルが点灯しつつある。金価格は、日足チャートで、9日指数移動平均線が200日指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が成立している。また、MACDラインでもシグナルラインを上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が成立している。
更に、FRBの年内あと1回の利上げの有無は不透明感があるものの、利上げ終了は着実に近づいている。金価格にとって重荷となるFRBの利上げ終了が視野に入る中、金価格の上昇継続を見込む。
5月4日を起点とした右肩下がりのレジスタンスライン近辺かつ、2月から5月にかけての金価格の上昇の半値戻しの水準:1943ドル(1トロイオンス当たり)の上方ブレイクが視野に入る。ブレイクすると、金価格の上昇トレンドが一段と鮮明になることを見込む。
また、米国金利が上昇した局面で、金価格が心理的節目である1,900ドルでサポートされるかに注目。サポートされた場合、金価格の上昇地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。
金価格(XAU/USD)日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著