※2023年7月25日17時02分更新
金、金/ドル - 値動きと見通し
- 金/ドルの上昇は、厳しいレジスタンスが立ちはだかり、勢いを失いつつある
- 現在の主な焦点は、米FRB、ECB、日銀の金融政策決定会合/金利決定
- 金/ドルの見通しと注目すべき重要な水準とは?



米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀(BOJ)の金融政策決定会合を控える中、金先物相場の上昇は勢いを失いつつあるように見え、今月の反発が自律反発に過ぎない可能性が高まっている。
FRBは26日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施するとの見方が有力だが、市場は同時に発表される声明文に注目している。タカ派的な利上げは米ドル相場を全面的に支え、金相場を圧迫すると考えられる。一方、FRBが経済指標の結果をより重視し、「様子見」の姿勢を維持するなら、ドルと金の相場は直近のレンジ内に戻る可能性がある。ハト派的な利上げはドルに下押し圧力をかけ、結果的に金/ドルの下支えにつながるかもしれない。
今後の動きに対する感応度という点では、最近のドルの値動きから判断すると、FRBによるハト派的な利上げは他の2つのシナリオよりもドルの重しとなる可能性がある。感応度についての詳細は、7月19日付記事「金価格見通し:急上昇、米小売売上高が予想下回る伸びで。チャートの目標価格を達成、今後の行方とは?」をご参照ください。
金/ドル 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ECBも27日に政策金利を25bp引き上げると予想されており、タカ派的な姿勢を維持する可能性が高い。しかし、最近のECB当局者の発言では、9月の利上げは決定事項ではないとしており、ハト派的な利上げとなるリスクも同時に高まっている。一方、日銀は28日の金融政策決定会合で大規模金融緩和政策を維持すると見られている。
金/ドル 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
テクニカルチャートでは、前述の7月19日付記事で指摘したように、金/ドルは今月初めに示現した小型の逆ヘッドアンドショルダーパターンの価格目標1,980前後を達成した。しかし、金相場は、日足チャートの一目均衡表の雲上限より少し下に位置する、6月初旬の高値1,983という厳しいレジスタンスに屈しているように見える。
6月末に始まった反発局面を継続させるには、金/ドルは7月中旬の安値1,945と240分足チャート上の200期間移動平均線を含む、収束サポートを上回る水準を維持する必要がある。
これに失敗した場合、1カ月間にわたる反発は自律反発による調整に過ぎなかったことが確認され、6月の安値1,893、場合によってはそれを割り込んで下降するリスクが露呈するだろう。個人トレーダーのポジション状況を示すIGクライアントセンチメント(IGCS)によると、約69%のトレーダーが金をネットロング(買い持ち)にしている。通常、群衆センチメントの逆張り指標として使用されるIGCSからは、金/ドルがさらに軟化するリスクがうかがえる。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。