【サマリー】
- 今回のFOMCでは25ベーシスポイントの利上げが有力視されている
- FOMCの焦点は金融政策の方向性を見極めることにある
- ゆえに各市場の参加者は、パウエルFRB議長の会見に注目するだろう
- 米ドル相場(ドルインデックス)の展望とテクニカルポイントについて



連邦公開市場委員会(FOMC)の焦点と米ドル相場の展望
パウエルFRB議長の言動に注目
今週の注目イベントは、21~22日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)である。
米欧の金融システム不安を受け、50ベーシスポイント(0.5%)利上げの可能性が完全に後退し、現時点では25ベーシスポイント(0.25%)の利上げがコンセンサスとなっている(20日9時時点のFEDウォッチ)。
今回のFOMCの焦点は、今後の金融政策の方向性について連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がどのような見解を示すのか?この点にある。
短期金融市場では、早ければ6月にもFRBが利下げに転じることを予想する動きが見られる。
アメリカ政策金利の予想推移
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米国のインフレは鈍化の傾向にある。だが、未だ高水準にありインフレリスクがくすぶる状況にある。
22年8月の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でパウエルFRB議長は1970年代の物価高騰とその時の教訓に言及し、インフレ抑制重視のスタンスを維持してきた。
ゆえに、インフレ抑制の道半ばで利下げ政策へ転換するのか?について、各市場の参加者はパウエルFRB議長の言動に注目するだろう。
パウエルFRB議長が早期の利下げを示唆すれば、米金利には低下の圧力がかかるだろう。外為市場では米ドル安の進行が予想される。利下げではなく利上げの停止を示唆する場合も同様に米ドル安の要因となろう。
一方、インフレ抑制のため利上げ政策を継続する姿勢を示す場合は、米国の株式市場が下落または急落することが予想される。このケースでは、リスク回避の米ドル買いを想定しておきたい。
経済と政策金利の見通し(SEP)
パウエルFRB議長の会見のほか、FOMCメンバーによる最新の経済と政策金利の見通し(SEP)も米ドル相場を動かす材料になり得る。
注目すべきはインフレの見通しである。23年末の見通しで前回の予想中央値(PCE:3.1% / コアPCE:3.5%)以上となる場合は、パウエルFRBによるインフレ抑制重視のスタンスが続くことを各市場の参加者に意識させるだろう。
また、23年末の政策金利の予想中央値が前回の水準(5.1%)から切り上がる場合も利上げ維持の可能性を各市場の参加者に意識させよう。これらは、いずれも米ドル買い要因となろう。
ドルインデックスの展望とテクニカルポイント
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、“サポート転換” が確認された104.00の水準を完全に下方ブレイクする状況にある。
21日MA(104.53レベル)と100日MA(104.87レベル)がレジスタンスラインとして意識されている状況やMACDが低下基調にあることも考えるならば、現在のドルインデックス(米ドル相場)は、2月の上旬に “サポート転換” の局面が見られた103.00のトライを意識する局面にある。
上で述べたとおり、パウエルFRB議長が早期の利下げや利上げの停止を示唆する場合、ドルインデックスは103.00を視野に下落することが予想される。短期サポートラインのブレイクは、103.00トライのシグナルと想定しておきたい。
米ドル安のさらなる進行でドルインデックスが103.00を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準(102.75レベル)と76.4%の水準(102.01レベル)で反転するかどうか?この点を確認したい。
一方、FOMCイベントが米ドルの買戻し要因となる場合は、レジタンスラインとして相場の上昇を止める局面が見られた100日MAのトライおよびブレイクが焦点となろう。21日MAの突破は、100日MAをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドルインデックスのチャート
TradingViewの日足チャート:年初来