金、XAU/USD、IGクライアントセンチメント、米PCE、世界的な景気後退 - トーキングポイント
- 米PCEで消費の伸び鈍化が示されたにもかかわらず、30日の金相場は下落
- 金相場にとって厳しいファンダメンタルズ環境が続く
- 個人トレーダーは依然として大量に金を買い持ち、市場シグナルは弱気を示す



金相場は過去24時間に弱含みの展開となり、0.6%近く下落した。第2四半期は軟調に終わり、過去3カ月間で金価格は6.66%低下した。これは、2021年第1四半期以来、最悪のパフォーマンスである。さらに、金(XAU/USD)は2020年夏に到達した水準から変化していない。
興味深いことに、法定通貨ではない金は、好材料が重なったにもかかわらず弱含みの展開となった。すなわち、30日(木)は米ドルと米国債利回りの双方が軟調に推移したのである。米ドルと米国債利回りは、米個人消費支出(PCE)総合価格指数が予想を下回ったことに反応して下げた。米連邦準備制度理事会(FRB)が物価指標として重視するPCEからは、物価が高止まりしている兆候がうかがえた。
しかし、米国の景気後退に対する懸念が高まったためか、FRBがややタカ派姿勢に転換すると期待する見方が相場を押し上げることはなかった。FRBは苦境に立たされている。昨年からのインフレ率上昇に無策だったため、FRBはそれを挽回するためにもっと積極的に動かなければならない。さらに、世界的な金融引き締めは、貴金属にとってファンダメンタルズ的に好ましい環境ではない。
来週月曜日に米国の独立記念日の祝日があるため、長い週末となる。今週の市場の取引時間終了まで、金相場は小幅な値動きにとどまりそうである。残り24時間の間に、米サプライ管理協会(ISM)が米製造業購買担当者景況指数(PMI)を発表する予定だ。6月の予想数値は前回の56.1から低下の54.5となっている。上回るにしても下回るにしても、予想外の数値でない限り、金(XAU/USD)相場の動きは今後も、幅広く市場のセンチメントに左右されそうである。
金相場 テクニカル分析
最近の金の下落により、XAU/USDは1787 - 1810のサポートレンジに深く入り込んでいる。このレンジを割り込めば、金はさらに下げ幅を拡大する可能性がある。相場の下落は3月からの下降トレンドラインに沿っている。このラインは、上昇に転じた場合、下値サポートとなる可能性がある。下落幅が拡大した場合は、2022年初頭の安値1778が焦点となり、その後は12月の安値1753が視野に入ってくる。



XAU/USD 日足チャート

資料:TradingView
金のセンチメント見通し - 弱気
IGCSの指標によると、個人トレーダーの約86%が金を買い持ち(ネットロング)している。IGCSは逆張り指標として機能する傾向があるため、これは価格が下落し続ける兆候と受け取れる。売り持ちは昨日、先週に比べ、それぞれ5.67%と16.91%の減少となっている。現在のセンチメントと最近のポジショニングの変化からは、弱気の逆張りスタンスが増えていることがうかがえる。

--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、下のコメント欄を使用するか、Twitter で@ddubrovskyFXまでお願いいたします。
*IGクライアントセンチメントのチャートとポジショニングのデータは、6月30日付のレポートから引用しています。