金、金/ドル、米CPI、FRB、テクニカル分析 – トーキングポイント
- 金相場は、注目される米CPIの発表を前に、楽観的なムードが広がっている
- コアCPIが強い内容となれば、FRBはタカ派的な姿勢を維持する可能性が高い
- 3月を始点とした金/ドルの重要な下降トレンドラインは強化されている



12日のニューヨーク金先物相場は底堅く推移した。9月に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、「数人」のメンバーが、リスク軽減のため引き締め政策を調整する必要があると認識していたことが明かされた。それを除けば、議事要旨にさしたるサプライズはなかった。これまで通り、さらなる利上げが実施される可能性は高い。
FOMCの議事要旨よりも重要なのは、13日午後9時半(日本時間)に発表される米インフレ指標だ。9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.1%上昇と、前月(同8.3%上昇)より伸びは鈍化すると見られている。米連邦準備制度理事会(FRB)にとってより心配なのは、変動の激しい食品とエネルギー価格を除いたCPIコア指数の前年同月比での伸びが拡大することだ。9月のコアCPIの伸び率は6.5%と、前月(6.3%)より高くなると見られている。コアCPI上昇の主な要因は家賃の上昇にあると思われる。住居費は物価全体の3割程度を占め、指標を構成する品目の中で最も比率が高い。
米シティグループが算出するエコノミック・サプライズ指数を見ると、米国の指数は6月以降、上昇している。同指数は「びっくり指数」とも呼ばれ、エコノミストなどによる事前予想と各種経済指標の実値との食い違い(乖離幅)を指数化している。通常、実値が予想を上回れば指数は上昇し、予想を下回れば指数は下落する。米国指数の上昇は、エコノミストが米経済の健全性と力強さを引き続き、過小評価していることを示唆している。そのため、今回の米CPIも予想を上回る可能性がある。そうなると、金相場にとって良い兆候とは言えない。
米国市場では、11月に75ベーシスポイント(bp)、12月には50bpの利上げがほぼ織り込み済みである。9月の米CPIが強い内容となれば、12月の利上げ幅は75bpに引き上げられる可能性もある。そうなれば、ドルや米国債利回りは上昇するかもしれず、金先物相場には打撃となる可能性が高い。このことを念頭に置きつつ、米CPI発表を前に、注目すべき重要なテクニカル水準を見ていきたい。
金相場 テクニカル分析
この先、金相場が下落した場合、9月安値の1,614が重要なサポートとなる可能性がある。この価格のブレイクが確認されれば、下降トレンドが再開され、2020年3月以来の安値水準まで下落するかもしれない。一方、上昇局面では、3月から続く下降トレンドラインが意識されそうだが、レジスタンスとして機能し、下降トレンドが再び優勢になる可能性は否めない。



金/ドル 日足チャート

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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