金、金/米ドル、FOMCでの利上げ観測、米小売売上高、米消費者センチメント - トーキングポイント
14日のニューヨーク金先物相場は、1,700の大台を割り込み、大幅下落に見舞われる可能性が出てきた。8月の米消費者物価指数(CPI)が予想以上に強い内容となったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が高まり、短期の米国債利回りと米ドルは共に上昇した。15日の日本時間午後9時半に8月の米小売売上高、16日には9月のミシガン大学消費者信頼感指数が発表され、今週を締めくくる。
この2つの経済指標は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合における市場の利上げ予想を左右する可能性が高いため、金先物相場の動向を見極めるうえで鍵となるかもしれない。フェデラルファンド(FF)先物は、100bpの利上げの可能性が25%であることを示している。この確率が高まれば、金の資産としての魅力は低下する。FRBは米経済のソフトランディング(軟着陸)を望んでいるが、それよりも優先されるのが物価上昇の抑制である。しかし、米経済が底堅く推移していけば、金利上昇の影響を和らげることができる。そうなれば、FOMCは金利政策に関して、より柔軟に対応できるようになる。
とはいえ、米小売売上高が予想を上回る内容となれば、金には不利になる可能性が高い。アナリストは、前月比0.1%減少と予想しているが、これはガソリン価格が下落したためである。注目すべきは、ガソリンと自動車を除いた数値である。ブルームバーグのコンセンサス予想では、前月比0.5%増加と見られている。16日にミシガン大学が発表する9月の消費者態度指数速報値は、8月の58.2から60.0に上昇すると予想されている。ミシガン大学は同時にインフレ期待率も発表する予定で、1年先および5-10年先のインフレ期待率はそれぞれ4.6%と2.9%と予想されている。
たとえ、これらの経済指標が予想を下回ったとしても、米CPI発表後は75bpの利上げが基本シナリオとなっているため、金先物相場が厳しい状況にあることに変わりはない。経済指標が予想を下回った場合、米国債利回りは上昇基調を維持し、金先物の上昇余地はほとんどないと見ている。最もあり得そうなのは金下落のシナリオである。金先物相場は100bpの利上げの可能性が高まると下落し、FF先物でその可能性が50%に達すると、弱気のモメンタムが高まる可能性が高い。

資料:TradingView
--- DailyFX.com アナリスト トーマス・ウェストウォーター著
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