金先物相場 - トーキングポイント
金先物相場は50日単純移動平均線(SMA、1,780ドル)をなかなか決定的に上回ることができず、先週の上昇分を帳消しにした。月間安値(1,754ドル)で下げ止まらなければ、下降している移動平均線に沿って右肩下がりの動きが続く可能性がある。



金先物相場、8月のオープニングレンジ維持できなければ、弱含み継続
金先物相場は、米国債利回りへの低下圧力が続いているにもかかわらず、月間高値(1,808ドル)を前に下落に転じたように見える。先週から続いていた高値圏での高値と安値の切り下げの動きが止まり、8月のオープニングレンジを割り込みそうな勢いである。

米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化で75ベーシスポイントの追加利上げ観測が後退する中、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が金先物相場に影響を与えるかどうかはまだ分からない。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)は今後数カ月間に利上げペースを緩める方向に向かっていると見られ、FRBがインフレ対策への取り組み姿勢を変更するのは間近との思惑が金先物相場を押し上げる可能性がある。
より小規模な利上げ実施を支持するFRB高官が増えれば、FOMC議事録が、FRBのフォワードガイダンスを通じて政策の転換を予見することを示唆する可能性がある。金先物相場は、4月以来となる50日SMA(1,780ドル)を上回る水準で推移する場面もあり、9月21日に開催される次回の政策金利決定会合に向けてより大きな回復を見せるかもしれない。
しかし、ジェローム・パウエル議長は「次回の会合で異例の大幅引き上げが適切になる可能性がある 」との認識を示しており、FOMCから同様の発言が増えれば、金先物相場の足を引っ張りかねない。移動平均線が下降し続けていることから、年初来安値(1,681ドル)からの反発は目先の調整売りに転じる可能性も否定できない。
以上のことから、金融引き締め政策が実行される方向で動いていると考えれば、金先物相場は下降している移動平均線に沿って下落し続けるかもしれず、8月のオープニングレンジで下げ止まらなければ、金先物相場は弱含みの展開が続く可能性がある。
金先物相場 日足チャート

資料:Trading View
- 6月の値動きとは異なり、金先物相場は今月初めに50日SMA(1,780ドル)をかろうじて上回って推移し、1,816ドル(エクスパンション61.8%)を上回る水準で終値を付け、1,825ドル(エクスパンション23.6%)から1,829ドル(リトレースメント38.2%)にかけてのエリア付近が視野に入ってきた
- しかし、月間高値(1,808ドル)を前に下落に転じているように見えるため、下降している移動平均線を追う動きとなる可能性がある。1,761ドル(エクステンション78.6%)から1,771ドル(リトレースメント23.6%)辺りのフィボナッチが重なる水準を上抜けできない場合は、月間安値(1,754ドル)を試す展開も視野に入る
- 8月のオープニングレンジ手前の水準で下げ止まる勢いに欠ける場合は、1,725ドル(リトレースメント38.2%)付近に向かって下がるかもしれず、その場合は1,690ドル(リトレースメント61.8%)から1,695ドル(エクスパンション61.8%)のエリア付近が次の下値サポートとして意識されよう



--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
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