※2023年6月20日18時04分更新
金、金/ドル、ドル、GC1、米債券利回り、英中銀、PBOC、FRB、豪ドル - トーキングポイント
- 米国債利回りの上昇を背景に金相場は下振れ
- 中国PBOCが利下げを実施し、市場の関心は今、英CPI発表後の英中銀会合に移っている
- 市場にとって忙しい週となる中、ドルの値動きが金/ドル動向の鍵を握るかもしれない



20日アジア時間の金先物相場は、米国(19日)が祝日で休場であるにもかかわらず、ドル高が進んだことを背景に軟調に推移した。
主要な米国株式市場は休場だったが、米国債の現物市場は開いており、米国債利回りはイールドカーブ全体で小幅ながら上昇した。
米国債利回りの上昇はドル相場を下支えしたように見えたが、他のほとんどの先進国市場の国債利回りも上昇した。
20日の英ポンド/ドルは、2年物(英国国債)利回りが2008年以来初めて5%に達したにもかかわらず、軟化した。英5年および10年債利回りも、昨年10月に見られた高水準が視野に入っている。
明日21日は英消費者物価指数(CPI)の発表、22日はイングランド銀行(中央銀行)の会合を控えている。金利市場では、英国の政策金利が引き上げられると予想されている。
きょう20日の国債市場で、日本国債(JGB)の動きは例外であった。ドル/円が7カ月ぶりの高値を目指す中、日本国債利回りは動かなかった。
円安が続くと、日銀の当局者から何らかのアクションが起こる可能性がある。
その他、昨日まで中国を訪問していたアントニー・ブリンケン米国務長官と中国の習近平国家主席との会談は、具体的な進展はなかったものの、概ね良好だったと見られている。
中国人民銀行(PBOC、中央銀行)は、事実上の政策金利に当たる最優遇貸出金利(LPR)1年物と5年物を10ベーシスポイント(bp)ずつ引き下げ、それぞれ3.55%、4.20%とした。
1年物金利は予想通りだったが、中国の住宅ローン支援のため5年物金利は15bpの引き下げが期待されていた。
20日の原油相場は、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物が71ドル近辺、ブレント原油先物が76ドルを下回るなど、軟調に推移している。最新の原油価格はこちらでご確認いただけます。
オーストラリアドルは、きょうオーストリア準備銀行(RBA、中央銀行)が理事会の議事要旨を発表した後に大きく下げた。議事要旨では、メンバーは、2週間前に市場が当初考えていた予測とは異なり、25bpの利上げ実施に確信を持っていなかったことが明らかになった。
金利決定直後に発表されたRBAの声明は、きょう公表された議事要旨よりも若干タカ派的だったように見受けられる。これを受け、オーストラリアの代表的な株価指数であるASX 200指数はいくらか上昇した。
今後の動きとしては、米国が休場から戻り、いくつかの住宅関連の米経済指標が発表される。経済指標カレンダー全体はこちらでご覧いただけます。
ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は21日に下院金融委員会で、翌22日には上院銀行委員会でそれぞれ半期に一度の議会証言を行う。
GC1(金の期先物取引)のテクニカル分析
金先物相場は最近、上昇トレンドラインを割り込んだが、決定的なブレイクアウトには至っていない。1,936-1,945エリアのサポート水準は今のところ機能しており、今後も維持される可能性がある。
先週木曜15日の安値1,936は、過去の安値と重なったため、ダブルボトムが形成されるかもしれない。このダブルボトムは、2,000のネックラインを上回れば確定される可能性が高い。
価格は一時、100日単純移動平均線(SMA)を下回ったが、終値では再び同SMAを上回った。
これは、最近の弱気相場が一旦、市場から拒否されたことを示唆しているのかもしれない。
このエリアをきれいに下抜けると、弱気な展開となり、次の注目すべきサポートゾーンは1,811と1,813のダブルボトムとなる可能性がある。
金相場が、現在2,000のすぐ下に位置する55日SMAを上回れば、すべての期間の日足SMAを上回ることになり、強気の勢いが展開していることを示唆することになる。
2,000を上方ブレイクした場合、史上最高値の手前のレジスタンスゾーンまで上昇する可能性がある。
5月上旬の高値2,085は、2022年3月の高値2,079を上回ったが、史上最高値2,089を超えることはできなかった。このように高値の切り上げができず、上値の重い展開が続いたため、ダブルトップの延長線上にあるトリプルトップが形成された。
このため、2,080-2,090エリアに潜在的なレジスタンスゾーンが設定されているが、これらの水準を上回れば、さらなる強気の展開となる可能性が出てくる。
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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