※2023年8月23日13時59分更新
金、金/ドル、FRB、米国債利回り、米実質利回り、ブレイクイーブンインフレ率 - トーキングポイント
- 今週開催のジャクソンホール会議を前に、金相場は堅調な足取りを見せている
- 米債券売りが続く中、米国債利回りは上昇の一途をたどる
- 米実質利回りの上昇は不吉な予感。金/ドルのサポート割れにつながるか?



23日アジア時間の金先物スポット価格は、24日から始まる米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)を控える中、1,900ドル前後で推移している。
金相場は、最近の米国債利回りの上昇を考慮すると、持ち堪えていると言える。昨日は、長期金利の指標である米10年債利回りが2007年以来の高水準で取引された。6月に3.57%まで低下した同利回りだが、現在は4.36%まで上昇している。
恐らく、金の強気派にとってより懸念されるのは、米実質利回りの上昇だろう。実質利回りとは、名目利回りから同じ償還期間の米物価連動国債(TIPS)から導き出される期待インフレ率を差し引いたものである。このインフレ率はブレイクイーブンインフレ率として知られている。
ブレイクイーブンインフレ率はここ1カ月、比較的安定している。それが実質利回りを上昇させている要因でもある。実質利回りが上昇すると、投資家やトレーダーはリターンが得られず、金価格は軟化するかもしれない。実際、金を保有するにはキャリーコストがかかる。
このため、名目金利である米国債利回りの動向が注目され、ジャクソンホール会議に対する評価は、今後の金価格にとって重要な意味を持つ可能性を秘めている。
米10年物実質利回りは22日に2%を超え、金価格が925ドル前後だった2009年7月以来の高水準となった。
その後、実質利回りは2013年まで低下し続け、マイナス1%近くまで低下した。
2011年に金相場が1,920ドルの高値まで急騰したのは、米実質利回りでこのような低下が起きていた時だった。このまま実質利回りが上昇し続ければ、金相場には下落圧力がかかるかもしれない。下の2つ目の図をご覧ください。
今週これからの動きについては、24日にジャクソンホール会議が始まれば、多くの米連邦準備制度理事会(FRB)当局者が発言し、市場の関心を呼びそうだ。しかし、市場は26日に予定されているパウエルFRB議長の講演に最も注目しており、その内容はより詳細に吟味されるだろう。



金スポット vs 米10年債名目金利、米10年物ブレイクイーブンインフレ率、米10年物実質利回り
資料:TradingView
長期 - 金スポット vs 米10年物実質利回り
資料:TradingView
金相場のテクニカル分析
金相場は最近、1,885-1,895エリアの潜在的なサポートゾーンを試した。
このゾーンには、一連の過去の安値、ブレイクポイント、そして1,614から2,062までの動きのフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準がある。
さらにその下では、フィボナッチ・リトレースメント50%の水準1,838がサポートになる可能性がある。
上値では、直近の高値1,897、あるいはブレイクポイントも近い心理的水準2,000がレジスタンスとなりそうだ。
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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