※2023年9月5日12時32分更新
金、金/ドル、米国債利回り、米物価連動国債、米実質利回り、BRIC諸国、金の買いだめ - トーキングポイント
- 下押し要因を尻目に、金相場はなかなかレンジをブレイクできずにいる
- 米国債利回りの上昇よりも、米実質利回りの上昇の方がより重要な意味を持つ
- BRIC諸国は代替目的のために金に注目しているかもしれない。金/ドルの上昇につながるか?



地政学的要因によって市場の下押し要因が相殺されている可能性がある中、金先物相場は5日アジア時間でも1,940ドル前後で推移し続けている。そのため、貴金属のボラティリティは低下している。
米実質利回りは今年、上昇の一途をたどっており、最近では10年物利回りが14年ぶりの高水準に達し、1.90%を上回る水準で取引されている。
実質利回りとは、名目利回りから、同じ償還年限の米物価連動国債(TIPS)から算出した期待インフレ率を差し引いたものである。
前回、米実質利回りがこれほど高かったのは2009年で、その際に金スポット価格は1,000ドルを下回っていた。もう少し最近では、米実質利回りが1.0%近かった2018年に、金スポット価格は1,300ドルを下回っていた。



金スポット vs 米10年債実質利回り
資料:TradingView
もちろん、それ以降、かなり時間が経っており、市場が求める需要にも変化が見られる。BRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国は、準備通貨として支配的な地位を占める米ドルに代わるものを求めている。
最近、これらの国々は国際貿易において米ドルでの決済を回避できるよう、金で裏打ちされた為替システムの構築に躍起となっているようだ。
このようなシステムは、この記事の範中を超えるような多くの理由で、過去に失敗に終わっている。崩壊したブレトンウッズ体制を参考にしてほしい。
最近、世界最大の金生産地の一つである西オーストラリアを訪れた際、多くの関係者が、現地から掘り出されているほぼすべての金が中国行きの船に載せられていると語っていた。
BRICの別の国が同様の行動を取ったという、このような逸話は他でも報告されている。オーストラリア、中国、ロシアは金の一大生産国でもあることを念頭に置くと、こうした金の買いだめが最近の金相場の値動きを反映しているのかもしれない。
今後のテクニカル面での注目点としては、最近のレンジである1,885-1,900ドルをブレイクするかどうかだろう。このブレイクアウトの実現は、金/ドルの次なる顕著な動きのきっかけとなる可能性がある。レンジ取引について詳しく知りたい方は下のバナーをクリックしてください。



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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