※2023年8月18日15時18分更新
金、金/ドル、ドル、ドル指数、中国、人民元、米国債利回り、GVZ指数 - トーキングポイント
- ドルが再び上昇基調となり、金相場の苦戦は続く
- 米国債利回りは上昇の一途をたどっている。債券を売っている投資家に注目
- ボラティリティは低水準からじりじりと上昇。ボラティリティが上昇すれば、金/ドルは下落するのか?



米国債利回りの上昇によるドルの下支えが続いているため、金先物相場は19日の取引に向けて再び下押しされている。
ドル(米ドル)指数は6月初旬以来の高水準で取引され、金スポット価格は1,885ドルを付けた後、3月以来の安値水準で取引された。
米国債利回りは上昇し、長期金利の指標となる米10年債利回りは17日(北米時間)、4.328%で取引された。これは昨年10月に付けた4.335%をわずかに下回る水準で、2007年以来の高水準である。
ドルを上昇させる可能性があるのは、中国人民元の下落である。米国債保有に関する最近のデータでは、中国が6月まで再び米国債を売っていたことが明らかになった。
人民元が大幅に上昇した3月を除けば、中国は今年に入ってから毎月のように米国債券を売却している。
中国の不動産最大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)と政府系不動産開発会社の遠洋集団(シノ・オーシャン・グループ)という中国の不動産大手2社が今月、複数のオフショア債とオンショア債の支払いが滞り、債務不履行(デフォルト)に陥った。中国当局にとっては頭の痛い話である。
中国の信託大手、中融国際が今週、先月末から数十の投資商品で期日までに支払いを履行できていないことを明らかにした。不動産市場の悪化が今後さらに影響を及ぼすのではと懸念されている。
さらに18日には、同じく中国の不動産大手、中国恒大集団(エバーグランデ)が米国で連邦破産法第15条の適用を申請した。連邦破産法第15条は、連邦破産法第11条の申請と似ているが、米国内の事業だけでなくオフショアにも権益を持つ企業が対象となる。



金融市場は歴史的に、影響の波及が明らかになると神経質になる。
金相場はこのような状況において、「資金の逃避先」と見なされることがあるが、今回の市場分裂のケースでは違った。米国債もまた無リスクの資産とみなされ、混乱期に資金が向かうことがある。
しかし、この2つの資産はともに値下がりしている。値動きの原動力となっているのは中国の動きかもしれない。
米国債利回りが上昇し、資本価値が低下しているため、投資家は利回りの低い金への投資を避ける可能性がある。
GVZ指数は金のインプライド・ボラティリティの指標であり、S&P 500種株価指数のボラティリティを測定するVIX指数と同様の方法で計算される。
相場の先行きを示す金のボラティリティ指数はこのところ低迷していたが、今週は上昇している。これは、市場の先行きが見えにくくなっていることを示しており、価格が大きく動く可能性も視野に入ってくる。
中国情勢がさらに悪化すれば、中国当局は人民元を支えるためにより多くのドルを売る必要が出てくるかもしれない。このため、金/ドルだけでなく、他市場でもドルへの関心が高まる可能性がある。
金スポット vs 米10年債利回り、ドル指数、GVZ指数
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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