8月の金相場はFRBの金融政策不透明感が重荷となった。9月は金融政策の転換点を迎えつつあるFRBがFOMCを開催するが、金価格の個人トレーダーセンチメント及び今後の見通しとは



サマリー
- 8月の金価格振り返り
- 金の個人トレーダーセンチメント
- 金価格の見通し
8月の金価格
海外市場参加者が休暇シーズンのなか、ジャクソンホール会議といった重要イベントを控え、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を巡る不確実性が高まった。その結果、米国金利が上昇し、米国金利の逆の動きをする傾向のある金価格は下落した。
金利が付かない金は、米国金利上昇(低下)局面で相対的な魅力度が低下(上昇)し、金価格が下落(上昇)する傾向がある。
金価格(XAU/USD)は一時1,900ドル(1トロイオンス当たり)を下回ったものの、米国金利の上昇が一服すると、1,900ドル台を回復した。
金価格(XAU)と米国10年債利回り

資料:Trading View
金の個人トレーダーセンチメント
IG顧客センチメント(IGCS)によると、金を取引する個人トレーダーの約70%がネットロング(金を買い持ち)にしている。IGCSは、逆張り指標として機能する傾向があり、ほとんどの持ち高はネットロングに傾いているため、金価格は下落する可能性を示唆している。
しかしながら、昨日と比べてネットロングのトレーダーの割合が増加している一方、先週と比べると減少しており、まちまちである。このことを考えると、個人トレーダーセンチメントは金価格にとって中立である。
IGCS:金







金価格見通し
金価格(XAU/USD)は、週足チャートで、50期間指数移動平均線でサポートされ反発し、水平レジスタンスである1,930ドル、更に5月1日を起点として右肩下がりのレジスタンスラインを上方ブレイクしており、上昇圧力が強まっている。
テクニカル面で強気シグナルが点灯する中、20日にFOMC(米連邦公開市場委員会)に向けてFRBの利上げ終了との見方が強まった場合、米国金利低下につられて金価格が上昇することを見込む。
2月27日週から5月1日週の金価格の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準1,976ドルが視野に入る。同レベルを上方ブレイクした場合、金価格の上昇トレンド入りが鮮明になり、金価格は2000ドルをトライしよう。
一方、米国金利上昇局面では金価格が1,930ドルでサポートされるかに注目。同レベルがサポートラインに転換していることが確認された場合、金価格の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
金価格(XAU/USD)週足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著