金、Gold、雇用統計、FRB、FOMC、テクニカル―トーキングポイント
- 米国雇用統計が事前予想通りなら金利低下で反応?
- 金融市場はFRBの高金利維持を見込んでいる
- 米国雇用統計の結果次第で金価格は2,000ドル台回復が視野



1日公表の米国雇用指標(ADP雇用統計及び新規失業保険申請件数)は米国の労働市場が依然として底堅く推移していることを示した。2日夜に最重要の米国雇用統計が公表される。非農業部門雇用者数は19万人増と前回から減少、失業率も上昇が予想されている。
米国雇用統計の事前予想値と前回値

金融市場では、FRBは6月もしくは7月会合で1回弱の利上げ、その後は年末にかけて1~2回の利下げ予想に留まっており、高金利維持を予想している。今週の強い米国労働市場の指標を受け、米国雇用統計が上ぶれることへの警戒感は醸成されており、雇用統計の結果が大幅に事前予想を上ぶれない限り、一段の金融引き締め、米国金利の上振れ余地は乏しいと考える。また、FRB高官は7月FOMC(米連邦公開市場委員会)以降は不確実性が残るものの、6月FOMCでは一旦利上げ停止を支持する発言が相次いでおり、一段の金融引き締め観測が高まりにくい。
金利が付かない金は、米国金利上昇(低下)局面で相対的な魅力度が減少(増加)し、金価格が下落(上昇)する傾向がある。一段の金融引き締め、米国金利の上振れ余地が乏しいことは金価格のサポート材料であろう。
金価格(XAU/USD)のテクニカル分析:2,000ドル回復が視野
4時間足チャートで、5月上旬以降の下降トレンドチャネルを上抜け、金価格は上昇トレンドに転換しつつある。また、RSIは上昇トレンドへの転換を示唆する50を超えた。
金価格(XAU/USD)4時間足チャート




資料:Trading View
日足チャートで、RSIは上昇圧力の高まりを示唆する50超え目前である。また、MACD(移動平均収束拡散手法)ラインも上向きかつ、シグナルラインを上抜ける寸前であり、RSI同様金価格が上昇トレンドに転じつつあることを示唆している。更に、最近のレジスタンスであった50日指数移動平均線を終値ベースで上方ブレイクし、上昇トレンドに突入した可能性を示唆している。本日の米国雇用統計が事前予想を大幅に上ぶれない結果になった場合、5月上旬以来の2,000ドルが視野に入る。
金価格(XAU/USD)日足チャート

資料:Trading View
下落リスクは?
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米国雇用統計が事前予想を大幅に超える雇用市場の引き締まりを示し、FRBの金融引き締め観測が高まった場合、金価格の下落要因となり、4時間足チャートで5月以降のトレンドチャネルの上限ライン(現在1960)まで下落する可能性がある。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著