今週のFOMCにて、FRBの利上げ終了との見方が強まっている。米国債先物のショートポジションが昨年後半以降、急速に積み上がっており、今後の利回り低下(金価格のサポート要因)の可能性が高まっている。このような中、金価格の今後の見通しは?



サマリー
- 米FRBの利上げ終了が近付いている
- 米国債利回りは、FRB利上げ終了&極端なショートポジションの解消で低下の可能性
- 金価格、「1,985ドル」突破が上昇トレンド回帰のための鍵
FRB利上げ終了近付く
米FRB(米国連邦準備制度理事会)による利上げ局面終了が近いとの見方が強まっている。金融市場では、今週(25~26日)の米FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ後、更なる利上げの確率は3割程度にとどまっている。

資料:BloombergよりDailyFX作成
FRBの利上げ終了に伴い米国債利回り低下の可能性
利上げ終了が近付く中、米国債利回りが大きく上昇する可能性は後退していよう。米国10年債先物のヘッジファンド等(投機筋)のポジションでは、昨年後半以降米国債先物のショートポジション(米国10年国債先物の売り持ち)が急速に積み上がっている(米国債利回りの上昇要因)。FRBの利上げ終了が近付く中、既に高水準であるショートポジション(債券先物の売り持ち)が一段と積み上がることは見込めず、利上げ終了に伴いショートポジションを解消(米国債利回りの低下要因)する動きが強まる可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFXが作成
米国債利回り上昇のリスクが後退、利回りが低下する可能性があることは、金価格のサポート要因である。金利が付かない金は、米国金利上昇(低下)局面で相対的な魅力度が減少(増加)し、金価格が下落(上昇)する傾向がある。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 8% | -10% | 4% |
週次 | 27% | -22% | 14% |
金価格見通し
金価格は、1,935ドル(1トロイオンス当たり)のレジスタンスを上方ブレイク後、9日指数移動平均線が50日指数移動平均線を上抜ける「ゴールデンクロス」が成立した。更に、20日指数移動平均線が50日指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が3月以来初めて成立する寸前である。3月の「ゴールデンクロス」示現後、金価格は従来の史上最高値を更新した。テクニカル面では強気のシグナルが点灯しつつある。
しかしながら、金価格は1,985ドルのレジスタンスにて跳ね返されており、5月中旬~6月中旬の1,935ドル~1,985ドルのレンジ相場に回帰しただけの可能性がある。強固な水平レジスタンスである1,985ドルを上方ブレイクすると、上昇トレンドの再開が明確になる。その場合、FRBの利上げ局面終了が近く、米国債利回りの低下も見込める中、2,000ドル台回復、更に上昇の勢いが衰えなかった場合、史上最高値2,082ドルが視野に入る。
一方、今週のFOMCで年内の一段の利上げを示唆し、米金利が上昇した場合、金価格は1,935ドルでサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、最近の上昇は一時的との見方を強め、1,900ドルへ下落する可能性がある。
金価格(XAU/USD)日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著