金、金/ドル、ドル、FRB、米ドル指数、パウエル議長、米国債利回り - トーキングポイント
- パウエル議長の発言を市場が受け止める中、きょう8日の金相場は底堅く推移
- ドルは他の通貨を押し下げているが、金相場の下落にはつながっていない
- ボラティリティが上昇すれば、金/ドルの値動きに方向性をつけるのか?



金先物相場は今週これまでのところ、ほぼ横ばいで推移しているが、ブレイクアウトの動きとなりそうな気配を見せている。先週末は、米国金利予想を巡ってドルが反発した動きに巻き込まれ、金相場は大きく下げた。
ドルは、円やオーストラリアドルを筆頭に、多くの通貨ペアを日々、大きく動かしている。一方、金相場は今週これまで、1,860-1,885ドルの比較的狭いレンジにとどまっている。
市場が米連邦準備制度理事会(FRB)の金利動向を探ろうとする中、ドルは大きく動き出し、その後、予想外に好調だった米雇用統計が市場を驚かせた。
2022年3月に引き締めが始まって以来、フェデラルファンド(FF)レートが急速に上昇しているにもかかわらず、米国経済が依然として力強いことに、多くのアナリストは驚きを隠せない。



結局、米国債利回りは、一週間前の1日よりもきょう8日の方が高く、これが実質利回りを押し上げる要因となった。実質利回りは、債券の名目利回りから市場が織り込む将来の平均インフレ率であるブレーク・イーブン・インフレ率を差し引いたもので、米インフレ連動債(TIPS)から算出される。
金は利子を生まない資産であるため、米国債利回りの上昇が続くようであれば、金相場は今後、軟化する恐れがある。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は7日、インフレ鎮静化のためにさらなる利上げが必要であり、インフレ率を目標の2%程度まで引き下げるには、かなりの時間を要すると述べ、従来通りのタカ派姿勢を堅持した。
FRBがはったりをかけたという市場の見方に対して、FRB議長は十分に強く反論していないと市場は判断したようで、早期利上げ終了期待は根強く、株式や景気動向に敏感なベータ値の高い通貨などのリスク資産は上昇した。
金利市場ではターミナルレート(今回の金融引き締めサイクルにおける利上げの最終着地点)予想が5.15%近くまで引き上がったが、それでも2023年後半に利下げが実施されると見ている。利下げに関しては、複数のFRB理事が一貫して「起こらない可能性が高い」と述べている。
きょう8日のアジア市場でドルは軟調に推移し、金相場はわずかにプラス圏を維持して推移している。最近、大きく振れている他の市場に比べ、金相場のボラティリティは歴史的な基準で見て、比較的低水準にとどまっている。ボラティリティが上昇すると、相場は最初に動いた方向に勢いづく可能性がある。
金、米ドル指数、米10年債実質利回り、ボラティリティ指数 (GVZ)
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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