金、金/米ドル、米GDP、PCE物価指数、テクニカル分析見通し – トーキングポイント
- 金先物相場は、パウエルFRB議長の講演を控え、堅調に推移している
- 議長講演までは、米国GDPとPCE物価指数の発表が相場に影響を与える可能性がある
- 金/米ドルは、上値抵抗線になり得るフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準まで上昇している



3月17日に米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げサイクルを開始したとき、金先物相場は1,930付近で取引されていた。これまでに225ベーシスポイントの利上げが実施され、金先物相場は現在、1,754付近で取引されている。金先物相場はこの数十年で最も上昇していたにもかかわらず、FRBによる積極的な金融引き締めにより押し下げられている。金をインフレヘッジと捉える市場関係者は多いが、今は米国債利回りと米ドルの方がインフレヘッジとしてより注目されている。
FRBが利上げを通じた金融引き締めのペースを緩め始めるとの見方から、金先物相場は7月中旬から8月上旬にかけて、米国株式指数とともに上昇した。FRBがタカ派的な姿勢を弱めれば、米国債が買われて米国債利回りは低下すると同時に、リスク姿勢が強まり、それは通常、資産の安全な避難先である米ドルにとって重しとなるため、金先物相場にとって好材料となる。しかし、ジャクソンホール経済シンポジウムが近づくにつれ、トレーダーは慎重な姿勢に転じた。
ジェローム・パウエル議長が演壇に立つまでは、市場の慎重ムードは継続しそうだ。しかし、経済指標の動向がFRBの金融政策に影響を与えるため、これから発表される今週の米経済指標はFRB議長、ひいては金先物相場にも関係してくる。ブルームバーグの調査によると、米国の第2四半期の国内総生産(GDP)成長率第二次推計値は、前期比0.9%減から0.7%減へとわずかに予想が改善されている。GDPの縮小幅が予想より小さければ、金先物相場の重しになる可能性がある。議長講演の数時間前には、7月のPCE(個人消費支出)物価指数が発表される。7月のコアPCE物価指数は前年同月比4.8%増(6月)から4.7%増に縮小すると見られている。
金先物 テクニカル分析見通し
金/米ドル(XAU/USD)は、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準で反発し、38.2%の水準まで上昇している。今朝、この水準に肉薄したが、突破には至らなかった。この水準を上抜けすると、下降している50日単純移動平均線が意識されるだろう。オシレーター系テクニカル指標のMACD(マックディー)によると、上昇の勢いは弱まっており、フィボナッチ23.6%の水準まで反落する可能性が高いことを示唆している。
金先物 日足チャート

資料:TradingView
トレードに役立つメール配信サービス
DailyFXからタイムリーで国内外のマーケット情報を受け取ることができます。
--- DailyFX.com アナリスト トーマス・ウェストウォーター著
ウェストウォーター氏に連絡するには、Twitter で @FxWestwater までお願いいたします。