金相場 - トーキングポイント
金先物相場は、先週に米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを決定した後の下落分を取り戻しつつ、50日単純移動平均線(SMA、1,674ドル)を試す展開となっている。10日(日本時間午後10時半)発表の10月米消費者物価指数(CPI)は、物価上昇圧力の緩和を示すと予想されるため、金相場を押し上げる可能性がある。
金相場のファンダメンタルズ分析見通し:中立
金先物相場は、米雇用統計の10月非農業部門雇用者数(NFP)の発表に対する条件反射的な反応に伴い、週間高値(1,676ドル)を更新し、年初来安値(1,615ドル)で踏みとどまっているため、10月高値(1,730ドル)からの下落分を取り戻す展開となるかもしれない。
10月の米消費者物価指数(CPI)はコア指数も含め、前年同月比で伸び率が鈍化すると予想されている。インフレ率の伸び鈍化が確認されれば、FRBに利上げペースの減速を促すことになり、金の魅力が高まる可能性がある。

資料:CME
CMEのフェドウォッチによると、12月の利上げ幅について市場は、50ベーシスポイント(bp)利上げ実施の確率を50%以上と見ており、FRBの政策転換への期待が米国債利回りの低下につながる可能性があるが、CPIが予想を上回る内容となった場合は、ジェローム・パウエル議長が利上げサイクルを停止するのは「非常に時期尚早」と主張している通り、米連邦公開市場委員会(FOMC)が引き続き、積極的な引き締め策を堅持する可能性は高まる。
物価が高止まりしていることが確認されれば、パウエル議長が「インフレは低下していない」と強調していることからも分かるように、FOMCは従来のインフレ抑制策を維持せざるを得ないだろう。FRBがタカ派的な金融政策見通しを維持し、金先物相場は年内、逆風にさらされるかもしれない。
金相場は、50日SMA(1,674ドル)を上回る水準を維持できなければ、先月同様の値動きになりかねないが、米消費者物価指数(CPI)で伸びの鈍化が確認されれば、FRBの75bpの追加利上げ観測が後退し、金相場を押し上げる可能性も排除できない。
--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
ソン氏に連絡するには、Twitter で@DavidJSongまでお願いいたします。