※2023年6月30日11時38 分更新
円相場見通し
- 円は、日銀のハト派的な金融政策が重しとなり、主要通貨に対してこのところ、大きく下落している
- ドル/円は、米国債利回りの上昇がプラス材料となり、145.00に向けて上昇し続けている
- 一方、英ポンド/円は184.00付近で不安定な値動きとなっており、主要なテクニカルレジスタンスに接近している



29日のニューヨーク外国為替市場で円相場は軟調に推移した。日銀が6月の金融政策決定会合で大規模金融緩和政策の維持を決定したことを受け、トレーダーは円相場の先行きについて過度に悲観的な見方を継続している。
対ドルでは、やや下落した。米国債利回りの上昇や、予想を上回る米経済指標を受け米連邦準備制度理事会(FRB)による追加引き締めの可能性が高まったことが円売りドル買いを促した。
一方、対英ポンドでは、円の下げ幅は限定的だった。とはいえ、英ポンド/円は午後の早い時間に0.15%高の182.80まで上昇し、週初に付けた数年来の高値に近づく場面もあった。
ドル/円と英ポンド/円についてのテクニカル分析は以下の通りである。値動きは、センチメントと短期トレンドを見極めるうえで重要な手がかりとなる。
ドル/円のテクニカル分析
29日のドル/円相場は前日比0.3%超上昇し、目先の方向性を示す鍵となる重要なテクニカルレジスタンスである心理的水準145.00に肉薄した。
上値の勢いを味方につけているドルが今後も上昇する公算は大きい。これは、ドルが円に対し、間もなく強気ブレイクアウトを起こす可能性が高いことを意味しており、ブレイクアウトすれば、147.50、次いで148.75に向けて上昇する素地ができる可能性がある。
一方、ドル/円が145.00を突破できず、下降に転じた場合は、最初のサポートは142.50になりそうだ。この水準で底入れし、その後反発する可能性もあるが、下方ブレイクした場合、新たな売りを誘い、140.75を目指す下降トレンドとなるかもしれない。
ドル/円のテクニカルチャート
資料:TradingView
英ポンド/円のテクニカル分析
英ポンドはここ数週間、円に対して大きく上昇している。理由は、主要10通貨(G10)の一部に恩恵をもたらしているメカニズムと同じで、すなわち国内の債券利回りの上昇が後押ししている。パフォーマンスに注目すると、6月の英ポンド/円は今のところ5.5%近く上昇しており、2015年12月以来の高水準で取引されている。
英ポンド/円は議論の余地のない上昇トレンドにあるが、2つの理由から警戒が必要である。一つは、英ポンド/円は月足、週足、日足のRSI(相対力指数)指標によると買われ過ぎであること、もう一つは、 長期チャネルの上限と2007-2011年時の下落のフィボナッチ・リトレースメント50%の水準が重なるレジスタンス184.00に接近しているからである。
方向性に関するテクニカルなガイダンスを得るには、今後数日から数週間、心理的水準184.00付近で英ポンド/円がどのように動き、反応するかを注視することが重要である。つまり、価格がこのレジスタンスを決定的に上方ブレイクした場合、買いの勢いが加速し、190.00に向けて上昇する可能性が開かれる。
逆に、現在の水準を超えられず下落に転じた場合は、売り方が優勢になり、中期的に175.50まで下がる可能性がある。この分析は月足チャートを基に行われたものであり、どのシナリオも一夜にして展開されるものではない。
英ポンド/円のテクニカルチャート
資料:TradingView



--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著