


円相場(為替)概要
日本円はここ数カ月、日銀の超ハト派的な姿勢の金融政策を主な原因とする、長引く円安トレンドから抜け出せずにいる。世界の主要な中央銀行がインフレ圧力を抑制しようと積極的な引き締め政策を打ち出す中、日銀は動じる気配もなく、依然として短期金利をマイナス0.1%で固定し、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)政策を維持している。
第3四半期にむけて状況が大きく変わると考えられる理由はほとんどない。もし日銀が間もなく政策を転換するつもりなら、6月の会合でその下地となる動きがあったはずだが、そのようなことはなかった。それどころか、日銀は現状を維持し、景気刺激策を継続することを示唆した。
多くのアナリストが政策の出口は目前だと考えているが、植田和男総裁を含む日銀の政策委員会メンバーは、数十年にわたるデフレ後の、より継続的で需要主導型のインフレを達成するための戦略に引き続き力を注ぐ意向を示し、時期尚早な引き締め姿勢への転換は雇用に悪影響を及ぼし、持続的な賃金上昇を阻む可能性があるとした。



日銀のハト派姿勢は、世界の他の中央銀行とは全く対照的である。例えば、米連邦準備制度理事会(FRB)は2022年3月以来500bp(1bp = 0.01%)の利上げをおこない、追加で年末までに50bpの引き締めを示唆するなど、過去数十年間において最も強硬な金融正常化サイクルに着手している。そのため、米ドル/円が第2四半期中に8%近く上昇していることも驚きではない。
FRB、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)などの主要な中央銀行が来月中に政策金利をさらに引き上げると予想されている一方、日銀は依然として据え置きを続けているため、世界の為替市場において少なくとも短期的には円安が続くだろう。
円相場を楽観視するのは時期尚早だが、伸び悩む相場において円に対して弱気のエントリーは控えた方がよいだろう。この点について説明すると、円安が急激に進みすぎた際の過去数回、日本の当局は自国通貨を買い支えて為替市場に広がる投機的な動きを抑えるために為替介入をおこない、介入に巻き込まれた無数のトレーダーを焼き尽くしたからだ。
昨年、日本の財務省は、米ドル/円相場が急速に145.00円に向かい、その後150.00円に向かったとき、総額約680億米ドルのドル売り介入をおこなった。この通貨ペアの今後の取引のリスクリワードを算定する際には、この時の基準、特に二番目の基準を考慮に入れるべきだろう。



米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円のチャート
出所:TradingView、チャート作成:ディエゴ・コルマン
本記事では、円のファンダメンタル予想のみを取り上げています。米ドル/円とユーロ/円のテクニカルな見通しや、短期的に注目すべき主要な価格水準について知りたい方は、以下のリンクをクリックして、第3四半期の完全版取引ガイドをダウンロードしてください。無料です!


