ユーロ/米ドル相場 - トーキングポイント
ユーロは米ドルに対して、週間安値(1.0122)を更新し、8月のオープニングレンジを割り込む勢いとなっている。5月安値(1.0349)付近に位置するかつてのサポートゾーンからの下落が続いており、下降している50日SMA(1.0294)に追随する可能性がある。
ユーロ/米ドルは、かつてのサポートゾーンを割り込み、50日SMAに追随する展開か
ユーロ/米ドルは、先週から安値圏での高値・安値の切り下げが続いており、このような値動きから、さらなる相場下落の可能性が高まっている。また、5月安値(1.0349)を中心とした以前の下値サポートゾーンは今や、上値レジスタンスとして機能しており、年初来安値(0.9952)からの反発の動きを維持するのは難しそうな気配である。

今後については、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録がユーロ/米ドル相場に影響を与えるかどうかはまだ不明である。ジェローム・パウエル議長は「累積的な金融引き締めの効果が経済とインフレにどう影響しているかを評価しつつ、利上げペースを緩めることが適切になりそうだ」との認識を示している。今後数カ月間に、より小規模な利上げの実施を支持するFRB(米連邦準備制度理事会)高官が増えれば、FRBの政策転換が近づいているとの見方が強まり、米ドルにとっては向かい風となる可能性がある。
75ベーシスポイントの追加利上げ観測が後退する中、9月21日に開催される次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定会合を前に、ユーロ/米ドルは狭いレンジ内でのもみ合いとなるかもしれない。しかし、パウエル議長は「次回の会合で異例の大幅引き上げが適切になる可能性がある 」との認識を示しており、FOMCは現在の金融引き締め政策を維持する可能性がある。
FOMCが金融引き締め政策を実施する方向にあるとの見方を基準にすると、年初来安値(0.9952)からの回復は、より幅広いトレンドにおいて調整売りが出たためと解釈できる。ユーロ/米ドルのトレーダーは2022年の大半の期間をネットロング(ユーロを買い持ち)していることを鑑みると、最近見られたトレーダーのセンチメントの転換はその後のトレンド定着にはつながらず、一過性のものだったように見える。

IGクライアントセンチメントによると、現在63.46%のユーロ/米ドルのトレーダーがネットロング(ユーロを買い持ち)しており、ロングとショートの比率は1.74対1となっている。
ネットロングのトレーダー数は昨日より1.61%増加、先週より16.42%増加している。一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より1.82%減少、先週より19.31%減少している。先週は49.15%のトレーダーがネットロングしていたため、ネットロングへの関心が高まり、センチメントの転換に拍車がかかった。一方、ネットショートのポジション減少は、ユーロ/米ドル相場が8月のオープニングレンジを割り込みそうな展開となっているためと見られる。
まとめると、ユーロ/米ドルは、5月安値(1.0349)付近のかつてのサポートゾーンを割り込んでおり、50日単純移動平均線(SMA、1.0294)に追随する形で下落を続ける可能性がある。先週から高値と安値の切り下げは続いており、年初来安値(0.9952)からの反発トレンドを維持できない可能性がある。



ユーロ/米ドル 日足チャート

資料:Trading View
- ユーロ/米ドルは、5月安値(1.0349)付近のかつてのサポートゾーンが現在はレジスタンスとして機能しており、8月のオープニングレンジを割り込みそうな勢いとなっている。50日SMA(1.0294)を上回る水準をなかなか維持できず、6月の値動きを大いに反映する展開となる可能性がある
- またユーロ/米ドルは、1.0370(エクスパンション38.2%)を上回る水準で終値を付けられないため、下降している移動平均線に沿って下落が継続する可能性があり、1.0220(同161.8%)を下抜けると、1.0070(同161.8%)のエリアが視野に入ってくるだろう
- 次に下値サポートして注目されるのは、0.9910(リトレースメント78.6%)から0.9950(エクスパンション50%)付近にかけてのエリアで、年初来安値(0.9952)を割り込むと、2002年12月の安値(0.9859)が意識される展開となろう



--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
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