ユーロ/米ドル トーキングポイント
ユーロ/米ドルは、7月に年初来安値 (1.0000)を付け、約20年振りにパリティ(等価)水準で取引されている。相対力指数 (RSI)は売られすぎの領域にあり、ユーロは米ドルに対し、2002年12月の安値(0.9859) に向かって下落する可能性がある。
ユーロ/米ドル見通し:パリティ割れの水準継続なら2002年12月安値が視野に
ユーロは米ドルに対して、2020年の安値(1.0340)で底打ちできず、引き続き下落圧力にさらされている。先週から安値圏での安値・高値の更新が続いており、最近の値動きは、ユーロのさらなる下げ幅拡大の可能性を高めている。
そのため、RSIが30を超え、教科書通りの買いシグナルが出るまで、ユーロは米ドルに対して弱気な値動きが続きそうである。また、米国では消費者物価指数(CPI)が10カ月連続で上昇すると予想されており、6月の米CPI発表により、ユーロは対米ドルで年初来安値を更新する可能性がある。

総合CPIは前月に年率8.6%の伸びを示したが、6月の年率伸び率は8.8%に達すると予測されている。物価上昇の継続を示す証拠は、インフレ抑制対策に取り組み米連邦準備理事会(FRB)に圧力をかけると同時に、米ドル相場の強気な展開を促す可能性がある。
しかし、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIの伸びの鈍化により、市場の見方が分かれ、相場の反応はまちまちとなる可能性がある。米連邦公開市場委員会(FOMC)は100bpsの利上げ実施にはほとんど関心を示さず、7月27日に予定されている次回の金融政策決定会合でジェローム・パウエル議長らは、市場の予想通り、現行路線である75bpsの利上げを実施すると見られている。
これらのことを確認するまでは、RSIが売られ過ぎの領域にあることから、対米ドルでのユーロの弱気なモメンタムは加速する可能性がある。ユーロ/米ドルのトレーダーは2022年の大半をネットロング(ユーロの買い持ち)しており、個人トレーダーの現在のセンチメントは持続するように見受けられる。

IGクライアントセンチメントによると、72.80%のトレーダーが現在、ユーロ/米ドルをネットロング(ユーロの買い持ち)しており、ロング/ショートの比率は2.68対1となっている。
ネットロングのトレーダー数は昨日より4.27%、先週より11.59%増加し、ネットショート(売り持ち)のトレーダー数は昨日より11.50%、先週より39.28%増加している。先週は72.42%のユーロ/米ドルトレーダーがネットロングしていたため、ネットロングへの関心が高まり、群衆行動を促した。一方、ネットショートのポジションが急増したのは、ユーロ/米ドルがパリティ水準での推移が目前に迫っていたためと思われる。
とはいえ、米国のCPIが10カ月連続で上昇すると予想されることから、今週のユーロ/米ドル相場は安値圏での高値・安値の更新を継続する可能性がある。RSIが30を下回っている限り、ユーロは対米ドルで2002年12月の安値(0.9859)に向かって下落する可能性がある。



ユーロ/米ドル 日足チャート

資料:Trading View
- ユーロ/米ドルは、先週からの一連の安値圏での高値・安値の更新を受け、年初来安値(1.0000)を割り込んだ水準で推移している。相対力指数(RSI) が売られすぎの領域にあるため、ユーロ安の動きは続くように見える。
- RSIが30以上となるまでは、ユーロは対米ドルで年初来安値を更新し続ける可能性があり、0.9910(78.6%リトレースメント )から 0.9950 (50%エクスパンション)近辺 までのフィボナッチが重なるエリアを割り込むと、2002年12月の安値(0.9859) が視野に入ってくる。
- 2002年10月安値(0.9685)での底打ちに失敗した場合は、ユーロは対米ドルで2002年9月安値(0.9608)に向かい、次は0.9530 (61.8%エクスパンション)近辺 が下値サポートとして意識されそうである。



--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
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