FRB(米連邦準備制度理事会)とECBの利上げサイクルはどちらが先に終わるだろうか?
FRBとECBの両中央銀行とも利上げサイクルの終わりに近づいており、政策は発表される経済指標次第という状況である。米国のコアインフレ率はさらに改善したようにみえるが、サービス部門の成長が続き、失業率が歴史的な低水準に近い数値にとどまっていることから、経済全体の状況は比較的堅調だ。さらに、マーケットは2023年に入ってからFRBとの間に意見の隔たりがあり、FOMC(米連邦公開市場委員会)のタカ派姿勢を過小評価している。これらの状況を考慮すると、第3四半期にはドルの上昇余地がわずかに拡大する可能性がある。
ユーロ/米ドル:レジスタンスゾーンに向けた動きが転換点になると予想
ユーロ/米ドルの値動きは、1.1040から1.1100のゾーンでの反転を繰り返しており、上値を試す動きは成功していない。しかし、四半期予測による長期的な展望を考慮すると、1.0640に向けて下落する前に、レジスタンスゾーンを再度試す可能性がある。
1.0640は6月の安値であり、ユーロ/米ドルにおける3ヶ月のATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)である約400ピップスの範囲内に含まれている。また、1.1200以下では、青と赤のボックスで示されたポジティブなリスクリワードレシオ(リワードがリスクを大幅に上回ること)を用いると、弱気のセットアップが引き続き有効であることが確認できる。
ユーロ/米ドル 週足チャート
出所:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー



ユーロ/英ポンド:マーケットがBOE(英国中央銀行)のターミナルレートの予想を6%に引き上げ、下落が視野に
6月に開催されたBOEの金融政策決定会合では、0.5%の利上げというタカ派的なサプライズがあった。前日に発表されたCPIの結果が、コアCPIは2ヶ月連続で上昇、総合CPIが横ばいとなったことから、利上げの可能性が高まっていたが、この結果はBOEが予想していた数値とは正反対であった。金利市場は現在、BOEのターミナルレートを6%超と予想しており、これは他の中央銀行の金利見通しを大きく上回っている。
ユーロ/英ポンドの月足チャートをみると、0.8870付近で上値の重さを表す上ヒゲが何度も現れており、ここからの上昇は可能性が低いことが示された後、下降トレンドが非常に強くなっている。弱気な状況が続くと、2016年・2017年・2019年・2020年、最近では2022年に為替レートを抑えてきた0.8305(月足による基準)に向かう可能性がある。また、0.8835を超えると、四半期ごとの弱気のセットアップは無効になる。
ユーロ/英ポンド 月足チャート

出所:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー