ユーロ、ユーロ/ドル、ドル、欧州中銀、FRB、FOMC、カナダ中銀、米国債、LNG - トーキング・ポイント



26日のニューヨーク外国為替市場でユーロは1.0100に向けて上昇し、7週間ぶりの高値水準を付けた。
市場では米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢が弱まるとの見方が増えており、全体的にドル安が進んでいることも相まって、ユーロ/ドルはじりじりと上昇している。
カナダ銀行(中央銀行)は26日の会合で、政策金利である翌日物貸出金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、予想の75bpを下回る結果となった。これは、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が今月初めに、政策金利であるオフィシャルキャッシュレートを事前予想の50bpではなく25bp引き上げたことに続くものである。
カナダ中銀の動きを受け、市場では、「目を覆いたくなるような」インフレの高騰を阻止するための積極的な引き締め政策を進めるFRBが手綱を緩めるのではとの見方が強まったようである。
このような状況下、ドルは、米国債利回りがイールドカーブ全体で低下していることを嫌気して軟調な推移が続いている。26日のニューヨーク債券市場で10年債利回りは4.0%を割り込み、最近の上昇分を帳消しにした。先週付けた4.335%が直近の高値となっている。
このように積極的な引き締め姿勢が弱まるとの見方が強まっているにもかかわらず、先物市場とエコノミストの予測では、FRBは来週2日の会合で政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標レンジを75bp引き上げると見ている。
欧州中央銀行がきょう27日夜(日本時間午後9時15分)に会合を開き、誘導目標とする政策金利を決定する。市場では75bpの引き上げが織り込まれており、ブルームバーグのエコノミスト調査でもその見通しが支持されている。
北半球に冬が近づくと、冬場の深刻なエネルギー不足が懸念され、欧州大陸にとっては大きなリスクとなる。秋の天候が比較的穏やかであることが、これまでのところはプラス要因となっている。
ロシアからの輸入減少に伴い、欧州は世界各地から液化天然ガス(LNG)の輸入を急いだため、予定よりも早いペースで増加し、欧州のガス貯蔵施設はほぼ満タン状態だ。しかし、寒波が欧州を襲えば、LNGの消費は加速し、貯蔵確保が困難になるというリスクも残る。
LNGは原油など他のエネルギー源と異なり、安全に保管するための必要条件が非常に特殊で、そのインフラ設備にはコストがかかり、建設に要する期間も長い。いずれにせよ、エネルギー供給をめぐる問題が解決したとは言い難い。
エネルギー問題の状況が変化、あるいはFRBが積極的なタカ派姿勢を維持した場合は、ユーロ/ドル相場のボラティリティは高まる可能性がある。



ユーロ/ドル テクニカル分析
ユーロ/ドルは、下降トレンドチャネルの上辺をブレイクし、直近では55日単純移動平均線(SMA)を上抜けた。
同時に、21日単純移動平均線(SMA)を中心としたボリンジャーバンドの上限ラインも上抜けている。このバンド内に戻ってきた場合は、強気の勢いが一服する、または下げに転じる可能性がある。
現在、100日SMAと重なっている1.0090のブレイクポイントがレジスタンスになるかもしれない。さらなる上昇局面では、9月高値1.0198がブレイクポイントとなる可能性があり、その後は1.0340-1.0370のエリアに集まるブレイクポイントおよび過去の高値が控えている。
一方、サポートは、パリティ(等価)のブレイクポイント(1.0000)、あるいは以前の安値0.9705、0.9632および0.9536になる可能性がある。

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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