ユーロ/米ドル、チャート、分析
- 市場は欧州中銀による75ベーシスポイントの引き上げを予想
- 欧州中銀がハト派的な政策を示せば、ユーロは下落のリスク



欧州中央銀行(ECB)は今週8日の理事会で、高騰しているインフレを食い止めるため、政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.25%とする可能性が高い。この政策金利の決定とその後の記者会見でのECBの発言は、今後数週間から数カ月のユーロ相場の方向性を決めるうえで大きな意味を持つ。数週間前までは、ECBは25bp刻みで利上げを実施すると考えられていたため、75bpの利上げという考えを述べたら笑われていただろうが、インフレがユーロ圏の経済成長に大きな打撃を与え続けているため、ECBは、できるだけ早く利上げを実施する可能性が高いと見られる。
様々な市場レポートによると、G7(主要7カ国)の財務相は、ロシア産石油価格に上限を設定することで合意したという。ロシアによるウクライナ侵攻に対する報復として、ロシアの石油収入を減少させるととともに、世界的に高騰しているエネルギー価格を押し下げる狙いもある。エネルギー価格はインフレ数値の主要な要素である。G7諸国はこの価格に上限を設定する計画を承認する可能性が高いが、ロシアはすでに価格上限規制を課す国には販売しないと述べており、G7の動きにより、状況が短期的にどのように変化するかは今のところ不透明である。
ユーロトレーダーにとって、今週最も注目されるイベントはECB理事会だが、7日には第2四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)成長率の3次速報が発表される。 第2 四半期の改定値は1-3月期(0.5%)を上回ったが、0.6%の成長率は高い水準とは言えない。
市場を動かす経済指標とイベント全体については、DailyFX経済指標カレンダーをご覧ください。
最新の米国の非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想とほぼ一致しており、ユーロとユーロ/米ドル相場の行方は、今週8日に理事会を控えるECBの手に委ねられている。ECBが75bpの利上げを実施し、記者会見でタカ派的な姿勢を示せば、ユーロ/米ドルは再びパリティ(等価)水準を上回るだろう。利上げ幅が50bpにとどまる場合は、0.9900を割り込んで下落することになるだろう。月足チャートで見ると、0.98475を割り込んだ場合は、0.9610を底値とする、2002年後半に付けた3つの月間安値が次の下値サポートになりそうである。
ユーロ/米ドル 月足チャート 2022年9月2日

IGクライアントセンチメント(IGCS)によると、ユーロ/米ドルを取引するトレーダーの67.86%がネットロング(ユーロを買い持ち)しており、トレーダーのロングとショートの比率は2.11対1となっている。ネットロングのトレーダー数は昨日より4.85%多く、先週より7.40%少ない。一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より11.70%少なく、先週より3.89%少なくなっている。
当社は通常、群集心理とは逆の見方をしており、トレーダーがネットロングであるということは、ユーロ/米ドルは引き続き下落する可能性があることを示唆している。ネットロングのポジションは、昨日より増加しているが、先週より減少している。現在のセンチメントと最近の持ち高の変化を鑑みると、ユーロ/米ドルの取引バイアスはさらに混在化していると考えられる。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 1% | 5% | 2% |
週次 | 5% | -16% | -2% |
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