※2023年5月31日11時30分更新
NYダウ、S&P 500、米債務上限合意、歳出削減- APAC市場まとめ



NYダウとS&P 500は伸び悩む、歳出削減懸念が重しに
30日の米国株式市場でダウ工業株30種平均株価とS&P 500種株価指数、そしてナスダック100指数もやや、日中高値から値を下げ、ほぼ横ばいで取引を終えた。一方、米国債利回りは軒並み低下し、米国の金融政策に対しハト派に傾く見方が増えている可能性を示唆した。米国株は引き続き、急変動することはなく、投資家の不安心理を示す「恐怖指数」と言われるVIX指数は2022年初頭に付けた低水準付近で推移している。
市場の悲観的な見方は、今週には明らかになるとみられる米債務上限問題に関する取り決めの内容に起因しているようだ。先週末に、ジョー・バイデン米大統領とケビン・マッカーシー米下院議長が米債務上限を一時停止することで最終合意し、デフォルト(債務不履行)は回避される見通しと報道された。
この合意は31日にも議会で採決される見込みで、上院は債務不履行となる場合の期限とされる6月5日までこの合意を検討する時間を与えられた格好だ。AP通信によると、合意内容を詳しく見てみると、ホワイトハウスは少なくとも1兆ドル(公式発表ではない)の歳出削減に動く計画であることが分かるという。
この歳出削減が米国の経済成長見通しにどのような影響を与えるかを考えてみよう。ブルームバーグによると、米連邦政府支出はここ数四半期、経済成長率に占める割合が高まっており、国内総生産(GDP)成長率増加の一助となっている。しかし、GDPはこのところ減速しており、財政の引き締めとして機能する歳出削減は、制限的な金融政策と密接に関係していると言えそうだ。
そのため、歳出削減は景気を減速させる方向に促す可能性がある。一方で、インフレを抑える効果が期待できるが、景気後退のリスクが高まったり、その深刻度合いを強める可能性も排除できない。30日の米株式市場や債券市場での反応は、こうした背景が要因かもしれない。このため、31日のAPAC(アジア太平洋地域)市場では、リスク選好の動きにおいて上下に振れる展開も予想される。
NYダウのテクニカル分析
テクニカル面では、ダウ平均の見通しは引き続き、やや弱気に傾いている。指数は、以前機能していた3月からの旧上昇トレンドラインを下方ブレイクしたことが確認されている。これは、流れ星のローソク足パターンが示現した後の動きだ。当面のサポートは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準32,709である。
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NYダウ 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。