


WTI原油価格は、2020年の世界的パンデミックのピーク時に底を打って以来、快調に上昇を続けてきた。しかし、第2四半期末になると、その勢いは著しく鈍化した。ロシアがウクライナを攻撃した3月上旬に一時的に急騰した後、価格は不安定なレンジに落ち着く。
6月は、WTIにとって11月以降で最悪の月間パフォーマンスとなる方向で推移した。
原油価格は転換点を迎えたのだろうか。予備的な水準では、そう思われ始めている。原油価格が低迷しているのには理由があり、そのほとんどは、インフレとの戦いにおいて中央銀行が犯した過ちが非難の的となっているようだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、5月の予想外に強いインフレ報告を受けて、75ベーシスポイントの利上げを実施し、マーケットを驚かせた。FRBは獣を飼い慣らす能力に対する信頼を回復しなければならなかった。しかし、これは他のことと無関係ではない。第3四半期に向けて原油トレーダーが直面するのは、世界中の多くの中央銀行がより積極的にタカ派的になり、インフレを抑制しようとすることである。
その代償として、世界の成長がある。
下図は、WTIの価格と2022年のG20の成長率予想(前年比)を重ね合わせたものである。今年初めには、上位20カ国(G20)平均で前年比4.3%程度の景気拡大が見込まれていた。これは、特にロシアがウクライナを攻撃した後、下落している。現在、G20諸国は3%程度の成長率と見られている。
原油は、ついに生産量予測の崩れに屈したのだろうか。そのように思われる。高インフレを抑制するための中央銀行の最初の対応が遅かったため、物価の暴走を抑制するために、より急激で迅速な対応を迫られているのである。これは、行き過ぎると景気後退を誘発する危険性がある。これは原油にとって良い兆候ではなく、第3四半期に向けて厳しい環境となる。
原油価格は行き過ぎたのか?

出所:Bloombergチャート作成:ダニエル・ドゥブロフスキー