原油、WTI、ジャクソンホール、コアPCE、テクニカル分析 – トーキングポイント
- WTI原油先物は、25日のセンチメント回復の恩恵は受けなかった
- 米国と中国の景気後退は、依然として原油先物相場の脆弱性につながるリスクがある
- ジャクソンホール会合とFRBが重視するインフレ指標に注目が集まる
週初めは大幅高となった原油先物だが、この24時間（25日）のニューヨーク・マーカンタイル取引所では弱含みで推移した。金融市場の関心は、毎年恒例のジャクソンホール経済シンポジウムに集まっている。そこでは、パウエル米連邦準備制度理事会（FRB）議長が他の中央銀行総裁らと共に講演を行う。FRBが来年どのように金融引き締めを進めるかについては多くの議論があり、それは原油先物相場に影響を与える可能性がある。
25日の米国株式市場でS&P 500種株価指数が力強い上昇を見せたにもかかわらず、WTI原油先物は足元を固められなかった。この原因として、中国の経済危機と相まって、米国の景気が後退するとの懸念が重しとなった可能性がある。米国エネルギー情報局（EIA）によると、この2カ国を合わせた石油需要は世界全体の約34％に達している。
中国政府は今週すでに、経済刺激策として約1兆元相当の追加措置を決めている。これは、問題の山積みを示唆する一方、将来的には救済措置として功を奏する可能性もある。その一方で、すべての視線は残りの24時間（26日）に注がれている。パウエル議長がインフレ抑制に対する決意を改めて表明すれば、2023年の政策転換への市場期待はさらに薄らぐ可能性がある。
市場では、来年の利下げはほぼ完全に織り込まれている。この点については、FRBが重視するインフレ指標が米国時間26日12:30 GMT（グリニッジ標準時）に発表されるため、注視しておきたい。7月のコアPCE（個人消費支出）物価指数は前年同月比4.7％増と、前回6月の4.8％増から低下すると見られている。上振れすれば、タカ派的な政策期待がさらに強まり、これを受けてセンチメントが悪化すれば、原油先物相場は下落リスクにさらされることになる。
原油先物 テクニカル分析 - 日足チャート
日足チャートで見るとWTI原油先物は、短期の20日単純移動平均線（SMA）の突破が確認できる。しかし、陰の包み足（抱き線）のローソク足パターンを残している。これは、価格は92.95 - 95.11の変曲点となっているゾーンを維持してはいるが、上昇の勢いがやや弱まっていることを示している。また、50日SMAは依然として下向きであり、下落傾向は継続する可能性がある。その場合、昨年末に変曲点となった85.38が下値サポートとして焦点となろう。週末に向けて上昇に転じる場合は、50日SMAを注視したい。
資料：TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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