※2023年5月10日11時02分更新
原油、米CPI、個人トレーダーのポジション、テクニカル分析 – IGCSによるコモディティ市場アップデート



9日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYNEX)でウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は4日続伸し、4月初旬以来の続伸記録に並んだ。きょう10日も続伸となれば、3月上旬以来の最長記録となる。今月初めに底を打って以来、原油先物は約8%上昇している。
この上昇は、バイデン米政権が米国の戦略石油備蓄(SPR)を補充するために原油の購入を開始予定だと発表したことがきっかけとなった。SPRは、ロシアが1年以上前にウクライナに侵攻した際に落ち込んだ影響で、40年ぶりの低水準に沈んでいる。
市場は、きょう10日(日本時間21時半)に発表される4月の米消費者物価指数(CPI)に注目している。CPI総合指数は前年同月比5%上昇と横ばい、コア指数の伸び率は前年同月比5.6%から5.5%へとやや低下すると予想されている。物価上昇率が依然として高い状況が確認されれば、先週の健全な米雇用統計と相まって、米連邦準備制度理事会(FRB)の目先の利下げ観測はさらに後退し得る。
利下げ観測の後退は、将来の原油需要見通しに水を差す可能性がある。しかし、ここ数日、個人トレーダーは原油の上昇に、売り持ちを増やすことで対応している。これは、IGクライアントセンチメント(IGCS)で確認できる。
原油相場のセンチメント見通し - 強気
IGCSによると、原油を取引する個人トレーダーの約76%がネットロング(原油を買い持ち)にしている。大多数のトレーダーが依然として買い持ちに傾いているため、この先も価格が下落し続ける可能性がある。しかし、昨日、先週のネットショートのポジションは、それぞれ3.44%、37.98%増加している。全体のポジションは買い持ちが多いが、このような直近のポジション状況の変化を考慮すると、価格は上昇に転じる可能性があることが示唆されている。
原油相場 日足チャート
資料:Trading View
日足チャートでは、原油相場は64.40-67.93の広いサポートゾーンから切り返し、上昇の動きを強めている。目先のレジスタンスは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準75.60のようだ。その先には、200日単純移動平均線(SMA)が控えている。このSMAが維持されれば、上値の重い展開が続きそうだ。



--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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