WTI原油、ガソリン、上昇ペナント―トーキングポイント



原油の需給が改善しつつある。供給面では、ロシアとサウジアラビアが減産・価格安定に向けて協調姿勢を示している。需要面では、原油及びガソリン在庫の動向が原油価格をサポートしている。
米国では、コロナ下の移動制限の反動、米国経済が底堅く推移していること等を受け、自動車での移動、ドライブシーズンに突入し、原油から精製されるガソリン在庫が減少傾向にある。ガソリン在庫の減少は、精製元である原油の需要増、価格上昇要因になり得る。原油からガソリン等を作る製油所稼働率も上昇しており、ガソリン等の需要が底堅いことを示唆している。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
ガソリン在庫の減少に合わせて原油在庫も減少している。ガソリンに対する需要が底堅い中、今後も原油に対する需要も底堅く推移することを見込む。原油の需給の引き締まりは原油価格の上昇要因である。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
原油価格見通し
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -8% | -5% | -6% |
週次 | -14% | 8% | 0% |
WTI原油価格は、6月後半に67ドル台まで下落後、77ドル台まで急上昇し、短期的な保ち合い期間のチャートパターンである「上昇ペナント」を形成している。上昇ペナントは、相場が大きく上昇した後の短い保ち合い期間であり、その後上方トレンドラインをブレイクし、以前と同じ上昇方向への動きが継続することを示唆する。
来週に米FOMCを控える中、米国の利上げ局面終了が視野に入りつつある事に加え、主要産油国であるロシアやサウジも原油減産や価格安定に向けて協調姿勢を示しており、上昇ペナントの上方ブレイク、そして上昇トレンドの再開を見込む。上方ブレイクした場合、4月24日高値79.14ドルが視野に入る。
一方、FOMCにて一段の利上げが示唆され、世界景気の後退懸念が高まった場合等は、原油価格が6月21日高値72.68ドルでサポートされるかに注目。サポートされた場合、原油相場の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。一方、下方ブレイクした場合、最近の上昇が一時的との思惑から、心理的節目である70ドルに向けて下落するシグナルとなる。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著